お世話になります。
以下、よろしくお願い致します。
▪︎前提
1.中小企業
2.従業規則あり(労働基準法89条)
3.生前退職金の定めなし、かつ、支給実績なしであるが、死亡退職の場合の定めあり
▪︎質問
上記を前提とした場合、当該中小企業は退職金の支給義務あり、となりますでしょうか。
死亡退職金の支給実績の有無で取り扱いが変わる場合には、場合分けで回答をお願いしたいです。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
> ▪︎前提
> 1.中小企業
> 2.従業規則あり(労働基準法89条)
> 3.生前退職金の定めなし、かつ、支給実績なしであるが、死亡退職の場合の定め
> あり
>
> ▪︎質問
> 上記を前提とした場合、当該中小企業は退職金の支給義務あり、となりますで
> しょうか。
> 死亡退職金の支給実績の有無で取り扱いが変わる場合には、場合分けで回答を
> お願いしたいです。
2 回答
就業規則の内容は、一般的に、当該会社と
労働者との雇用契約の内容となると解釈されています。
> 3.生前退職金の定めなし、かつ、
> 支給実績なしであるが、死亡退職の場合の定めあり
ということであれば、
退職金制度自体はあるものの、
適用される労働者の範囲として、
死亡した場合のみを規定しているということになりますので、
基本的には、生前退職金に関することは
労働者との合意内容にはなっていないと評価されることになるでしょう。
ただし、
就業規則には明文がなくとも、
労働者との間で黙示の合意があったり、
当該会社内での事実上の慣習があったりする場合には、
退職金の支給義務があると認定されることもあります。
労働者との黙示の合意や事実上の慣習が
あったかという点からの判断については、
死亡退職金の支給実績の有無というよりは、
生前退職金の支給実績の有無の方が、
当該中小企業において、生前退職金の支給義務を
負うかのメルクマールになります。
生前退職金を、従前から支給していた実績がある場合などでは、
労働者に対する退職金支払義務が認められる場合があるということです。
支給実績が1件でもあれば、
義務を負うというわけではないですが、
どの程度の実績があれば支給義務を負うかについては、
その支給義務の内容や、
社内での運用についての労働者や会社側の認識などの
総合判断となりますので、単純には割り切れないところです。
よろしくお願い申し上げます。