お世話になっております。税理士の●●です。
建設業の収益計上時期につきまして質問させて頂きます。
(前提)
当社はゼネコンと取引しており収益の計上基準は
従来より完成工事基準で収益を認識しております。
契約書の特記事項に
「検査及び受渡しを完了した物品の所有権は、その都度納入者より
注文者に移転する」との記載があります。
(質問)
①このような特記事項があるゼネコンの収益の認識は
完成基準ではなく進行基準で計上しなければいけないのでしょうか
②この特記事項の解釈ですが一つの建物の仕事でも月ごとに請求する分は
検査や引渡しを完了したと考えられるのか、月ごとの請求は仮請求であり
全体の引渡しをもって検査、受渡の完了とみるのか教えて頂ければと思います。
宜しくお願い申し上げます。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
なお、工事進行基準の強制適用される
「長期大規模工事」に該当しない前提
で回答します(法人税法64条1項)
1 ご質問①〜完成基準か進行基準か
>契約書の特記事項に
>「検査及び受渡しを完了した物品の所有権は、その都度納入者より
>注文者に移転する」との記載があります。
>このような特記事項があるゼネコンの収益の認識は
>完成基準ではなく進行基準で計上しなければいけないのでしょうか
実際の工事の内容によりますし、
契約者が何を意図した規定なのかは、
明らかではありませんが、
上記の契約の文言は、
「検査及び受渡しを完了した物品の所有権」
というものであり、
例えば、複数の物の請負工事のうち、完了した
物に対する所有権と読むことが合理的かと思います。
あくまでも検査と受け渡しの対象となる独立した
1つの物である必要があると考えられるためです。
つまり、部分的完成基準のようなものを定めた
ものというイメージかと思います。
ですので、この規定があるからといって
直ちに進行基準でなくてはならないという
わけでもないかと思います。
2 ご質問②〜1つの建物の仕事を月ごとに請求する場合
>②この特記事項の解釈ですが一つの建物の仕事でも月ごとに請求する分は
>検査や引渡しを完了したと考えられるのか、月ごとの請求は仮請求であり
>全体の引渡しをもって検査、受渡の完了とみるのか教えて頂ければと思います。
月ごとに請求しているからといって、
「検査や引渡しを完了した」と考えるわけではないと考えられます。
月ごとの請求は、
前受金的性格を有するものと考えるのが自然なのでは
ないかと思います。
なお、こちらの問題は法律の問題というよりも
会計の考え方の問題かと思います。
よろしくお願い申し上げます。