税理士の●●です。
以下の事案は犯罪に該当するか教えて下さい。
【概要】
甲(60歳)は2019年1月に死亡
相続人A(前妻の子で甲と同居)
相続人B(後妻Xの連れ子で甲と養子縁組している)
また、甲は後妻Xとも離婚しており、Bは自分の母親Xと同居している。
依頼者はAですが、AはBや後妻Xと接触したくないため、連絡役を私に依頼しました。
先々週、Bから電話があり、Xが使っている携帯電話は、甲の携帯とファミリー契約(?)
しており、甲の携帯がないと、解約等ができないため、甲の携帯電話を送って欲しいという
依頼がありました。
Aにその旨伝え、先週には携帯はB宛てに送ったとのことでした。
【今回の事案の概要】
先程、Xから事務所に電話があり、甲宛ての郵便の転送物が自分の所に届いたので、どうすれば良いかという内容でした。
最初、意味がわからなかったので、「どうして甲の郵便物がそちらに行ったのですか?」と尋ねたところ、
甲宛ての郵便物をXの住所に送るように転送手続きをしたいとのことでした。
転送された郵便物は
・JCB(通帳が止まっているため、口座振替できないので督促状かと思われます)
・スルガ銀行
・某市役所
・東京都
からの郵便物だそうです。
こちらは、私の事務所に送るようにXに伝えました。
転送届けを出した理由としては、「携帯を解約したいと思い、携帯会社へ連絡したら、解約用紙は、
甲の住所にしか送れない」と聞いて、転送届けを勝手に出したそうです。
用紙が届いたら、また転送届けを出して、甲の住所に送るようにする予定だったとのことです。
そして、まだXが欲しい書類は届いていないとのことです。
【質問】
・このような行為は犯罪に該当しますか?
・また、転送物をAに渡す時、なぜ●●が持っているか不信感をいだくと思われるすが、
Xが転送届けを出したと伝えるしかないでしょうか?
これは法律相談ではないのですが、財産額も固まり、今週の金曜日にAの希望を聞き、
来週以降にBやXの希望を聞いた上で遺産分割を終了させようと考えていましたが、
ここへ来て、Xの行動がAを興奮させないかと気を揉んでいるところです。
永吉さんなら、どうされますか?
以上、よろしくお願いいたします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①〜犯罪行為該当性
>転送届けを出した理由としては、「携帯を解約したいと思い、携帯会社へ連絡したら、解約
>用紙は、甲の住所にしか送れない」と聞いて、転送届けを勝手に出したそうです。
>用紙が届いたら、また転送届けを出して、甲の住所に送るようにする予定だったとのことで
>す。
警察が動くような話ではないと思いますが、
郵便局は、ご存知の通り、亡くなられた方の
家族でも転送はしませんので、
https://www.post.japanpost.jp/question/107.html
甲の名前を利用して転送届を出したものと
思われます。
この行為は、
私文書偽造(または電磁的記録不正作出)罪
及び同行使(または供用)罪に該当する行為です。
ただ、その目的と先生にすぐに転送している
というような状況ですし、
可罰性の観点からも警察は動くような事案ではないでしょう。
(この手の問題はそもそも警察が取り合う可能性があまりない
のですが。。。)
2 ご質問②〜Aに渡す方法
>・また、転送物をAに渡す時、なぜ●●が持っているか不信感を
>いだくと思われるすが、Xが転送届けを出したと伝えるしかないでしょうか?
Aが甲と同居していたということで、
突然、甲に対する郵便物が届かなければ、既に不審に
思っている可能性がありますし、
ましてや、●●先生が所持しているとなると
理由を伝えるしかないと思います(勝手に
捨てることなどできないですし)。
変に嘘をついたり、隠したりしても、
合理性のある説明もできないでしょうし、
今回の相続について、むしろ不信感を持つ
可能性の方が高いかと思います。
もちろん、前提として、依頼者に嘘をつくわけにも
いきません。
3 ご質問③〜その他
>これは法律相談ではないのですが、財産額も固まり、今週の金曜日にAの希望を聞き、
>来週以降にBやXの希望を聞いた上で遺産分割を終了させようと考えていましたが、
>ここへ来て、Xの行動がAを興奮させないかと気を揉んでいるところです。
>永吉さんなら、どうされますか?
既に甲の郵便物が突然、来なくなっている
という状況と●●先生が受け取ってしまっている
という状況からすれば、
伝え方も重要かと思いますが、
早い段階で、●●先生にXから連絡があったこと、
Xが転送した目的(携帯を解約するためであったこと)、
郵送物は●●先生のところに随時転送して
もらうことになっていること
などを伝えるしかないかと思います。
上記の通り、いずれは分かることですし、
説明もしなければならないかと思いますので、
甲の郵便物が届かなくなっていることに
強い疑問を持つ前に伝えた方が、良いかとは思います。
(経験上、不信感が連鎖すると相続等の話はこじれます。)
Xがしてしまったことは事実ですし、
どうしようもないので、
Aがそれで興奮してしまうというのであれば、
それはある程度、やむをえない部分かとは思います。
先生としては、今後、話がこじれた場合には、
非弁リスクも高い領域ですので、
その点はお気をつけください。
よろしくお願い申し上げます。