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債権譲渡の際の確定日付の取得方法

お世話になります。●●と申します。

民法467条の指名債権の譲渡の対抗要件について教えてください。
債権を譲渡する際には、確定日付のある債権譲渡通知書又は債権譲渡承諾書
によって行わなければならない、とのことですが、

私は次の手順によって行っています。

ちなみに、相続税対策で債権贈与を行なっています。

1.債権贈与契約書の作成(個人間)

2.債権譲渡通知書の作成(対会社)

3.2.の債権譲渡通知書に、法務局で確定日付をもらいます。

4.3の書類を会社に持っていって会社で保存しています。

⇒郵送せず、手で配達しています。

(質問)

・上記手順で債権の譲渡を行うことに問題はありますか。

・確定日付の日は、贈与の日あるいは債権譲渡通知書に記載の日付で
なくてはなりませんか?

・例えば、一つの例として、
①贈与の日は、9月1日、
②債権譲渡通知書作成の日 9月5日、
③確定日付をもらった日 9月10日、
④その確定日付のある債権譲渡通知書を会社へもっていった日 9月15日

こういうスケジュールで、問題ありませんか?

よろしくお願いします。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問及び回答の結論

>・上記手順で債権の譲渡を行うことに問題はありますか。
>・確定日付の日は、贈与の日あるいは債権譲渡通知書に記載の日付で
>なくてはなりませんか?
>・例えば、一つの例として、
>①贈与の日は、9月1日、
>②債権譲渡通知書作成の日 9月5日、
>③確定日付をもらった日 9月10日、
>④その確定日付のある債権譲渡通知書を会社へもっていった日 9月15日

確定日付については、
その日付自体が第三者対抗要件の関係で、
意味を持つわけではないので、ご指摘の方法でも、
大きな問題があるわけではありませんが、

最も重要である債務者への到達時期等の証拠と
ならないことや
内容証明郵便を利用して確定日付を得る方が
簡単であることから、一般的に利用される方法では
ありません。

詳細については、「2 回答の理由」に記載しますが、

内容証明郵便で債務者に対して、債権譲渡通知を
送る方法をおすすめします。

2 回答の理由

債権譲渡通知により対抗要件を得る場合、

結局のところ、
民法467条1項の債務者対抗要件(債務者に対して、
債務の履行を請求するための要件)
民法467条2項の第三者対抗要件(利害関係のある
第三者に対して債権譲渡を対抗するための要件)

のいずれも、通知が債務者に「到達」したことが必要
となります。

例えば、第三者対抗要件について、
元の債権者がAとBの両者に債権を譲渡
した場合、どちらが優先するのかという
問題になりますが、

そのケースでは、債務者が、
AとBの両者に対する債権譲渡
通知を受け取った場合、

両者の通知に確定日付のある場合には、

結局のところ、どちらの通知が先に
債務者に「到達」したかで判断されると
するのが確立された判例の考え方です
(通知書の確定日付の先後ではない)。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(指名債権の譲渡の対抗要件)
第467条 指名債権の譲渡は、
譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、
債務者その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の通知又は承諾は、
確定日付のある証書によってしなければ、
債務者以外の第三者に対抗することができない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ですので、
確定日付ある債権譲渡通知を送る場合、
「いつ到達したか」を証明できる証拠が
重要となりますが、

債権譲渡通知を手渡しとするとそれを
証明する証拠が残りません。

したがって、一般的には、
内容証明郵便の方法で、債権譲渡通知を
送付することになります。

この方法であれば、

「確定日付」も得られ、その通知書の内容及び
到達日までも証明できる上、

郵便局で手続きをするだけなので、
簡単だからです。

よろしくお願い申し上げます。