母が、介護施設に入所中に息子が自宅で死亡しました。ただ発見されるまでしばら
くかかったので、間違いなくその住所に住ん
でいる息子がなくなったかどうかは、DNA鑑定を行うことになりました。母にはす
ぐ連絡がいきました。
今警察でDNA鑑定を行っていますが、鑑定結果がでるまで、1~2か月かかるといわ
れています。それで現状死亡届も出せていない状態です。
死亡の日がいつになるかわかりませんが、「相続の開始を知ったとき」とは、普通
に息子(であろう)がなくなったことを 母親が知った日となるのか、
あるいは間違いなくその本人がなくなったと、警察の
鑑定が出た日になるのでしょうか?
2.放棄について
今現在母親には、娘がいますので相続放棄することを考えていますが、さかのぼっ
て、母親が息子の死亡を知った日から3か月以内となると
日にちがあわただしくなりますが、こういう場合宥恕規定とかないのでしょうか
よろしくお願いします。
ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問①~相続の開始を知ったとき
>死亡の日がいつになるかわかりませんが、「相続の開始を知ったとき」とは、普通
>に息子(であろう)がなくなったことを
>母親が知った日となるのか、あるいは間違いなくその本人がなくなったと、警察の
>鑑定が出た日になるのでしょうか?
相続放棄の申述の手続は、
「自己のために相続の開始を知った時」から3ヶ月の
熟慮期間の間に行わなければならないとされており、
この「自己のために相続の開始を知った時」とは、
①被相続人が死亡したこと
②自らが相続人であること
を知ったときをいいます。
今回の事例において、
警察側で、DNA鑑定を行っており、その結果が
でていないということなので、
「被相続人が死亡したこと」を知った時というのは、
警察のDNA鑑定の結果において、
「息子」が死亡したとの結果が出た時点と考えられます。
ただ、
この被相続人が死亡したことの
認識の程度について、どこまで認識
している必要があるのかという点について
絶対的な明確な基準があるわけではありませんので、
このようなケースでは、
弁護士であれば、一応のリスクヘッジとして、
下記ご質問②のような上申書等付で、相続放棄の申述を
してしまうか、
以下のURLのとおり、家庭裁判所において、
熟慮期間の伸長申立ての手続を行うかと思います。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_25/
2 ご質問②~宥恕規定について
>今現在母親には、娘がいますので相続放棄することを
>考えていますが、さかのぼって、
>母親が息子の死亡を知った日から3か月以内となると
>日にちがあわただしくなりますが、こういう場合
>宥恕規定とかないのでしょうか
宥恕規定というわけではないですが、
リスクをヘッジする方法としては、
相続放棄の申述や熟慮期間伸長の申立てを
する方法があります。
>現状死亡届も出せていない状態
ですと、息子の住民票の除票、
死亡の記載のある戸籍が存在しないことになりますが、
申立書の「申立ての理由」欄や「上申書」
に現状、母親の息子が死亡したのか否かについて
DNA鑑定中であること、死亡届も出せていない
状態であることを合わせた形で行います。
仮に、これで裁判所が受けつけないとすれば、
現状で、「被相続人が死亡したこと」を知った時
は、当該事案では、DNA鑑定の結果がでたとき
としか考えられないという強い証拠になりますし、
受理自体はした上で、DNA鑑定の結果
がでた際に資料を追完してくださいという
ことで、申立ての時期自体は、行った時点
と判断することが多いと思います。
よろしくお願い申し上げます。