会社法

法人の配当手続きについて

永吉先生

お世話になっております。

質問の法人は5月決算の同族会社です。9月又は10月に配当を
考えています。
当該法人が配当を出すのは初めてですが、具体的は手続き等
お教えいただけますでしょうか。

よろしくお願い致します。

ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>質問の法人は5月決算の同族会社です。
>9月又は10月に配当を考えています。
>当該法人が配当を出すのは初めてですが、具体的は手続き等
>お教えいただけますでしょうか。

2 ご質問に対する回答

(1)配当の手続について

株主総会決議により、決定し、
配当を行うことになります。
特段、難しい手続きが要求されるわけでは
ありません。

株式会社において、配当を行う場合、株主総会で、

① 何を配当するのか(金銭か現物か)
② どのように割り当てるか
③ 配当の効力発生日をいつにするか

を都度、決定することとなります(会社法454条1項)。

「① 何を配当するのか(金銭か現物か)」について

金銭を配当する場合には、
普通決議(過半数)で足りますが、現物(金銭以外)による配当をすると
決定するためには、特別決議(2/3以上)を要します(会社法309条2項10号)。

「② どのように割り当てるか」について

割り当てにつき、株式数に応じた配当を行わなければなりません。(454条3項)
つまり、Aさんに1万円、Bさんに1万円などではなく、
1株保有するごとに100円など、保有株式数に応じた配当が
受けられるようにする必要があります。

「③ 配当の効力発生日をいつにするか」について

これは、株主総会決議後の日程であれば、特に問題ありません。
ただし、効力発生日に株主が配当金請求権を得ることになるため、
遅延損害金の支払いリスクを考えると、
翌日以降で確実に振り込みなどの支払ができる日とすることに
なります(株主が多い場合には特に)。

株主総会決議を経ないで配当した場合には、
原則無効となってしまいますのでご注意ください。

なお、議事録案としては以下のような
記載が一般的です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第◯号議案 剰余金の配当の件

議長より、剰余金を以下のとおり、処分したい旨を
説明し、議場に諮ったところ、満場一致を持って
承認可決された。

◯配当財産の種類
金銭
◯株主に対する配当財産の割当に関する事項
当社普通株式1株について金◯円 総額◯◯◯◯◯円
◯剰余金の配当が効力を生じる日
令和◯年◯月◯日
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(2)その他の注意点

配当をするためには、(1)の手続きの履践だけでなく、
下記の要件を満たす必要がありますので、念のためご確認ください。

① 純資産額が300万円以上であること(会社法458条)
② 分配可能額の範囲内で配当すること(会社法461条)
③ 配当にあたって、資本準備金又は利益準備金を計上すること(会社法445条4項)

よろしくお願い申し上げます。