お世話になっております。
成年後見人の利益相反について教えて頂きたいです。
成年後見人が、被成年後見人の不動産を不動産業者に売却(不動産業者の仕入)
↓
成年後見人が代表者となっている一般社団法人が不動産業者から紹介料を受け取る
という行為は、利益相反行為で違法となってしまうかの法律解釈を教えて頂きたいです。
これは関係ないかもしれませんが、親族も被成年後見人の存命中に換金したい要望があり、紹介料を支払う事の同意もあるような状況です。
紹介料の受取方法によって問題がなくなったりなどもあるのかも合わせて教えて頂きたいです。
売却代金全額を被成年後見人が受け取る→そこから被成年後見人が紹介料を一般社団法人に支払う
あるいは
紹介料相当額を差し引いた金額を売却代金として被成年後見人が受け取る
同時に、不動産業者が紹介料相当額を一般社団法人に支払う
よろしくお願い致します。
ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。
1 ご質問
>成年後見人が、被成年後見人の不動産を不動産業者に売却(不動産業者の仕入)
>↓
>成年後見人が代表者となっている一般社団法人が不動産業者から紹介料を受け取る
>という行為は、利益相反行為で違法となってしまうかの法律解釈を教えて頂きたいです。
>これは関係ないかもしれませんが、親族も被成年後見人の存命中に換金したい要望があり、>紹介料を支払う事の同意もあるような状況です。
2 回答
(1)利益相反行為となるか?
後見人の行為が「利益が相反する行為」(民法860条、826条)
に該当するか否かは、
当該行為を外形的・客観的にみた類型により判断するもので、
後見人の動機や意図をもって判断するものではありません。
(最判昭和42年4月18日)。
>成年後見人が、被成年後見人の不動産を不動産業者に売却(不動産業者の仕入)
>↓
>成年後見人が代表者となっている一般社団法人が不動産業者から紹介料を受け取る
ということですと、
紹介料に関する契約は、
あくまでも一般社団法人と不動産業者の
契約であり、被後見人と不動産業者の売買
とは別個の契約になりますので、
利益相反行為に該当しないものと思われます。
(2)損害賠償リスクについて
ただ、後見人は、後見人としての事務を行うにあたって、
善管注意義務を負います(民法644条・869条)。
ご質問のケースですと、
①紹介料の支払いがあることで、売却価額が下がった場合
②紹介料率が高い等の理由等で、他の業者による方が、
高額に売却できるにも関わらずしなかった場合
には、別途この善管注意義務違反を理由に、
損害賠償請求されるリスクがあります。
(現実には、相続発生後、相続人が
請求してくるということになると思います。)
そのため、後見人としては、
①その不動産業者が、紹介料の支払いの有無に関わらず、
売却価格が変わらないことを示す資料
(過去事例などを貰えれば、良いのですが。。。あれば、リスクはかなり下がります。)
②1社ではなく、数社から査定を取得した上で、最も高額な
ところに売却したことがわかる資料(査定結果が記載されたもので良いかと思います。)
を整えておくことが重要かと思います。
(②については、紹介料関係なく、後見人であれば、行う事項だと思います。)
なお、
>売却代金全額を被成年後見人が受け取る→そこから被成年後見人が紹介料を一般社団法人に支払う
>あるいは
>紹介料相当額を差し引いた金額を売却代金として被成年後見人が受け取る
>同時に、不動産業者が紹介料相当額を一般社団法人に支払う
については、むしろリスクが高くなる行為ですので、
解説を省略します。