民法 その他

発注書が存在しない場合の受注者リスク

永吉先生

税理士の●●です。

漠然とした質問で申し訳ありません。
下請法の問題になるのかと思いますが、

表題の件につきまして、
発注書が存在しない取引で、後日、トラブルが生じた場合、
発注者ではなく、受注者のリスクについて、ご教示ください。

●●先生

ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問

>漠然とした質問で申し訳ありません。
>下請法の問題になるのかと思いますが、

>表題の件につきまして、
>発注書が存在しない取引で、後日、トラブルが生じた場合、
>発注者ではなく、受注者のリスクについて、ご教示ください。

2 回答
(1)下請法上の問題

ご指摘のとおり、下請法により、
発注書等の書面を交付することが
義務化されていますが、

そもそも、下請法は、「発注者側」を規制する法律であり
「受注者側」に義務が課されるわけではありません。

したがって、仮に下請法の適用があることを前提としても、
ご質問にある「受注者側」にリスクがあるわけではありません。
(発注者が違反しているだけ)

なお、下請法が適用されるには、
発注者側・受注者側にそれぞれ資本金の要件があり、
また、適用される取引類型も限定されています。

その辺りは、下記の弊所の記事に
記載がありますので、
ご参考になさってください。
https://ec-houmu.com/roumu/sitaukehou

(2)その他のリスク

発注書がないということが、
他の法律に違反しているということではないですが、

発注書は契約の事実を基礎づけるものですから、
これがないと、トラブルになった際には、
・発注者から依頼する意思はなかった(契約が成立していない)
・債務の内容が特定されておらず、依頼内容に沿った義務の履行がなされていない
などの主張がなされる可能性があります。

他の証拠(メールのやりとりなど)が
残っていればよいですが、

もし、これらもない場合には、今からでも
発注書を発行してもらった方がよいでしょう。

よろしくお願い申し上げます。