相続

相続放棄の方法について

前提
相続開始 2019年4月末頃
被相続人 甲(独り身)
相続人 乙(弟)と 丙(代襲相続人(甥))の二名

丙は相続を放棄すると自ら言っているが、
乙は大げさにしたくなく家庭裁判所への放棄手続きまではしたくない。

これについて考えている方法としては、
①遺産分割協議書を作成して、乙が全部相続し、丙は0で協議書を作成、署名押印する

②相続放棄の旨の書面を作成して、一筆もらっておく。

それぞれの場合、公正証書にし、確定日付も取る。

質問

①上記のように対応した場合の法的なリスクはどうなりますか。

②別(上記以外)に法的に有効な方法がありますでしょうか?

宜しくお願い申し上げます。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①〜相続放棄をしないリスク

>①上記のように対応した場合の法的なリスクはどうなりますか。

あくまでも、どのような財産があるのか
によるところですが、

消極財産である金銭債務等は
本来遺産分割の対象にならないので、

相続放棄に近い効果を持たせたいという
ことであれば、

消極財産も含む形にすることになるでしょう。
(実務上は、特別に合意をすることで、
遺産分割協議書に記載することも認められています。)

乙としては、全ての積極財産・消極財産を
乙が取得する遺産分割(相続分の譲渡と同じ趣旨となります。)
協議書を作成することで、リスクが高くなるわけではありません。

しかし、金銭債務等の消極財産について
の上記の合意は、
相続人間の負担割合を定めるものに過ぎず、
(本来は、遺産分割の対象ではないため)

被相続人に債権者がいる場合には、その債権者との
関係では当然分割されることになりますので、

債権者は、乙・丙に対して、法定相続分に
従い請求することができます。

したがって、相続放棄の手続きをしない前提
ですと、
債権者から丙が訴えられれば、丙は
法定相続分に従い金銭を支払う義務を負い
(履行しないと財産の差押え等をされてします)、

仮に、丙が債権者に金銭を支払えば、
丙は、乙に求償ができるのみです。

つまり、乙がお金がなく支払えないという
リスク(未回収リスク)を丙が負担
しなければならないということになります。

2 ご質問②〜適切な方法

>②別(上記以外)に法的に有効な方法がありますでしょうか?

>乙は大げさにしたくなく家庭裁判所への放棄手続きまではしたくない。

ということですが、
相続放棄をするか否かは、丙が単独で決める事項です。

正直、相続放棄は、裁判所が関与するのみで、
大げさなものでもなんでもなく、

>それぞれの場合、公正証書にし、確定日付も取る。

の手続きと「大げささ」はあまり変わらないと
思うので、相続放棄手続きをする方法が
良いのではないのかと思います。
(「大げささ」の意味によるのかとは思いますが)

よろしくお願い申し上げます。