1.取締役会設置会社(取締役3人)で、譲渡承認機関は取締役会
2.役員構成は「父A(代取)、長男B、父の弟C」
3.父Aは保有する全株式(30%)を長男Bへ贈与する意向
4.株主構成は「父A30%、長男B20%、父の弟C20%、親族外株主(少数株主)30%」で、父の弟Cは父Aから長男Bへの贈与は賛成の意見
5.これまで株主総会は事実上開催したことがなく、親族外株主の状況は未把握
■質問
父Aから長男Bへの株式贈与につき、取締役会決議を経る必要があるが、父Aと長男Bは当該決議に関する特別利害関係に該当する(会社法369②)。
そのため、定足数からも除外、議決に加わることもできない。
この場合、取締役会決議の瑕疵となるが、会社法では特別な規定をおいていないため、瑕疵のある取締役会決議は原則無効となる。
このような理解で間違いないでしょうか。
仮に間違いないとした場合、株主総会決議があれば救済措置がある可能性もありますでしょうか。
ただし、本ケースの場合には、少数株主の存在があるため、株主総会の招集手続にも瑕疵があるようにも感じてしまいます。
何か具体的な救済措置があれば、ご教示いただければ幸いです。
>父Aから長男Bへの株式贈与につき、取締役会決議を経る必要があるが、父Aと長男Bは当該決
>議に関する特別利害関係に該当する(会社法369②)。
>そのため、定足数からも除外、議決に加わることもできない。
>この場合、取締役会決議の瑕疵となるが、
>会社法では特別な規定をおいていないため、瑕疵
>のある取締役会決議は原則無効となる。
>このような理解で間違いないでしょうか。
2 回答
今回のケースでは、そもそも
取締役会決議に瑕疵は生じません。
>父の弟Cは父Aから長男Bへの贈与は賛成の意見
A・Bは、特別利害関係人に該当しますが、
定足数からも除外されるため、
決議要件は、定足数の議決への参加とその過半数の賛成
ですので、
そもそもCが1名で取締役会に参加し、賛成の議決をすれば、
要件を満たします。
ですので、C1名で承認決議をすれば、
問題ないということになります。
なお、仮に取締役会決議に瑕疵がある
場合は、ご指摘の通り、
一般原則に従い無効となります。
このようなケースで、株主総会決議
で瑕疵を治癒できるかというと、
説の対立があるところですが、
所有と経営を分離させるため、
あえて、取締役会設置会社としている
趣旨から、無効とされるリスクが
高いでしょう。
したがって、株式譲渡の承認であれば、
株主総会で定款変更をし、取締役会
「非」設置会社にする、または承認機関を
株主総会にする等してから、
株主総会決議で承認をするという
流れとなるでしょう。
よろしくお願い申し上げます。