税務争訟

審査請求において原処分庁から反論がない場合

国税不服審判所における審査請求について頂ければと思います。

審査請求の過程において、審査請求人と原処分庁の間で、
答弁書の提出や反論書の提出がなされるかと思います。

例えば、審査請求人が過去の判例や文献を用いて反論したことに対して、
原処分庁が反論をせず再調査決定書に書かれた以外の主張はないと回答があった場合、

1.審査請求人の反論書に対する原処分庁の反論がないことはよくあるのでしょうか。
2.反論書に対する反論がないというのは一般的に有利になるのでしょうか、
  それともあまり裁決の結果には影響しないのでしょうか。

●●先生

ご質問、ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①

>例えば、審査請求人が過去の判例や文献を用いて反論したことに対して、
>原処分庁が反論をせず再調査決定書に書かれた以外の主張はないと回答があった場合、
>1.審査請求人の反論書に対する原処分庁の反論がないことはよくあるのでしょうか。

個別の争点や反論の内容などによることになりますし、
なんとも言えないところです。

原処分庁としては、
請求人の反論に対して、
再調査決定書以上に、重ねて意見を述べる必要がないと判断
した場合には、新たな再反論等をしないという
こともあるでしょう。

例えば、請求にかかわる法律の解釈について争いがある
場合などは、自己の依拠する法律解釈を主張するのみで、
同時に相手方の解釈に対する反論もできていることはあります。

その再反論が再調査決定書に書いてあるので、
主張としては再調査決定書の内容を引用するのみで
足りるとの判断である可能性が高いです。

また、事実の認定よりも、
事実の評価が争点となるケースで
あれば、再調査決定書の記載以上に評価する
ことがなければ、新たな再反論をしない
こともあるでしょう。

>2.反論書に対する反論がないというのは一般的に有利になるのでしょうか、
>それともあまり裁決の結果には影響しないのでしょうか。

個別の争点や事案によりますので、一般論と
しては何とも申し上げられませんが、

原処分庁の判断としては、請求人の反論が
適切な反論となっていないというように考えている
可能性が高いかと思います(反論する必要がない。)。

特に今回のご質問では、再調査の決定が
なされている(何度か原処分庁も意思決定はしている)
上での、再反論なしということですと、
再調査決定書理由で十分だと判断している可能性が
高いのではないかと思います(あくまでも情報が
ない中での想像ですが)。

ですので、特に有利になっている
というわけではないと思います。

裁決の結果は、あくまでも、主張や
反論の回数で決まるものではなく、
質で決まるものですので、

再反論がないことが有利・不利という
ことではないと考えられます。

よろしくお願い申し上げます。