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税務調査において経費否認時の役員貸付金と認定利息について

教えて頂きたいのですが、税務調査で接待交際費を否認され役員貸付金に処理されました。
その役員貸付金に対して認定利息を計上するように言われていますが、ずっと昔からその代表者から役員借入金が多額にあります。
役員貸付金ではなく役員借入金の返済処理で構わないと考えますが、担当官は頑なに相殺は進行年度でないとダメと主張します。
どちらが正しいのでしょうか?
1 ご質問

>役員貸付金に対して認定利息を計上するように言われていますが、ずっと昔からその代表者
>から役員借入金が多額にあります。
>役員貸付金ではなく役員借入金の返済処理で構わないと考えますが、担当官は頑なに相殺は
>進行年度でないとダメと主張します。
>どちらが正しいのでしょうか?

2 回答

民法上は、相殺の意思表示があると、
相殺適状時(弁済期の到来した債権・債務が対立した時)
に遡るものとされています(民法506条2項)。

したがって、相殺の意思表示があると、
民法上は、おっしゃる通り、過去に遡って
役員貸付金と役員借入金が消滅していた
ことになり、利息は発生していなかった
ということになります。

しかし、税法上は、権利確定主義等の
関係で、あくまでも、民法上の遡及効は
当事者間における法的な擬制に過ぎないとして、
相殺の意思表示の時点で、消滅すると解されています。

それを前提とした裁判例も複数存在します
(東京地裁平成27年5月26日等)。

そうすると、認定利息についても、
相殺の意思表示があるまでは生じている
という理解になってしまいます。

過去に相殺の意思表示をしていたという主張
も考えられますが、
接待交際費で、処理していたということですと、
難しいところです。

ただし、税務調査において、
民法の規定から反論してみる
(民法に遡及効があるだけではなく、
利息をとらないことに合理性がある
という主張等も含む)
というのは1つの方法かとは思います。

ただし、不服審査や裁判となると厳しいでしょう。

よろしくお願い申し上げます。