会社法

定款に配当に関する記載がない場合の株式配当について

 3月決算の会社で、配当金を出すことで平成31年3月期の決算に係る類似業種比準価額を下げることを検討しています。

 配当金についての質問です。

非公開会社で有限会社ですが、定款に配当に関することは一切規定していません。(定款に規定がなくても配当できるのでしょうか・・・)

質問1)

 3月中に臨時株主総会を開き配当基準日を2月末にし、3月に配当金を支払うことは可能でしょうか。

質問2)

 配当の効力発生日を3月中にするためには、3月中に支払わなくてはなりませんか。

 以上、よろしくお願いします。

1 ご質問①

>3月中に臨時株主総会を開き配当基準日を2月末にし、3月に配当金を支払うことは可能でしょうか。

まず、現在、有限会社は、会社法の施行に伴う
関係法律の整備等に関する法律により、
一定の例外事項を除き、株式会社と
同様に扱われるものとされており、
配当についても同様です。

配当を行う場合には、会社法上、
株主総会決議により、
配当の効力発生日を定めます(会社法454条1項3号)。

その効力発生日に、株主の配当請求権
(会社からすれば、配当金の支払義務)が
発生しますので、その後に、
配当金を支払うことになります。

順番としては、
株主総会決議→配当の効力発生→配当金の支払い
となります。

よって、上記の順番さえ守れば、
3月中に臨時株主総会を開き、
配当の効力発生日を定め、
その後3月中に、配当を行うということは可能です。
(定款に配当に関する定めがなくとも、
配当を行うことは可能です)

なお、配当の基準日(その日時点の株主に、
配当金の請求権を与える)を定める場合には、
定款で定めるか、定款の定めがない場合には、
会社が基準日を定め、基準日の2週間前に
公告をしなければなりません(会社法124条3項)。

したがって、ご質問にあるように
>3月中に臨時株主総会を開き配当基準日を2月末にし
ということはできません。

基準日の定めがない以上は、
配当の権利を得るのは、
配当の効力発生日時点の株主となります。

2 ご質問②

>配当の効力発生日を3月中にするためには、3月中に支払わなくてはなりませんか。

この場合も、株主総会において、
配当の効力発生日を3月中の
特定の日付に定める旨の決議を行った場合、
会社には、その効力発生日において
配当の支払義務が発生します。

実際の配当の支払いは、
配当の効力発生日以降であればよく、
効力発生日が3月中だから絶対に3月中に支払わなければならない
というルールはありません。

ただ、効力発生日時点で、株主には、
配当金の請求権が発生していますので、
支払いが遅れると、株主から請求されたり、
遅延損害金が発生したりするリスクは
あるかと思います。
(規模の小さい会社で、
多少の期間が空くぐらいであれば、
特に問題とならないことが多いでしょう)

よろしくお願い申し上げます。