前提
・フィリピンで小売店経営を希望するA氏は現地に詳しい日本人コンサルタント甲氏と日本で契約
・契約書は無し、全て口頭による契約
・コンサル料金200万円を支払う。現地に小売店を出店しない場合は全額返金すると約束する。
・現地に同行するも通訳を雇い店舗や備品等の見学程度だった。(渡航費用等全てA氏負担)
・現地での労働者を手配するという約束が紹介されたのは甲氏の元交際相である。
・現地で競合他社の価格調査をやるという約束だったが不実行である。
・A氏は出店までの完全バックアップを甲氏に期待して契約をした。
・現在A氏は甲氏にこれ以上のバックアップは期待できず、支払った料金の返金を求めようと考えています。
・現在出店はできておりません。
・また、この程度のサービスなら依頼する必要なく自分でできたと話しています。
質問
①返金の可能性はありますでしょうか?
可能性があればその場合の段取りを教えてください。
その他注意事項があれば教えてください。
以上です。よろしくお願いいたします。
>返金の可能性はありますでしょうか?
まず、いただいた事情を前提に、
今回のAと甲との契約内容を整理すると、
以下の内容になるかと思います。
●Aは甲に対して200万円の支払義務を負う。
●甲がAに対して現地に小売店を出店する際のサポート業務を行う
具体的には、
・現地に店舗やその備品を準備する義務
・現地での労働者を手配する義務
・現地で競合他社の価格調査を行う義務
・その他出店までのバックアップを行う義務
など
また、
>現地に小売店を出店しない場合は全額返金すると約束する。
ということであれば、
出店しなかった(できなかった)場合には、
全額を返金するという特約もついていたという
ことになります。
すると、甲が契約上の義務を履行しないことを
理由に契約を解除して、返金を求めることもできますし、
出店しない場合には全額返金を受けることができるという
特約に基づき、全額返金を請求することも考えられます。
いただいた事情を前提とすると、
上記のような法的な請求が可能でしょう。
ただし、今回は、契約書がなく、
すべて口頭による契約とのことなので、
甲とAの契約が上記のような内容であったことを
立証する証拠がありません。
甲がこのような内容の契約であったことを
認めるのであれば別ですが、
甲が否定してきた場合に、証明するものがありませんから、
訴訟までいくと、証明ができず、返金の見込みは厳しいのではないかと
思います。
2 ご質問②
>可能性があればその場合の段取りを教えてください。
上記のとおり、証拠の観点からすると、
訴訟で勝訴することは難しいと思われますが、
これを請求すること自体は問題ありません。
Aとしては、まず、甲に対して、
甲が契約上負っている義務を履行することを
具体的な期限を定めて催促し、
その期間内に義務の履行がなされない場合には、
契約を解除するとともに、200万円を返還するよう
記載した内容証明郵便を送ります。
これに対して、甲から反応があれば、
返金の交渉をすればよいですが、
反応がないということであれば、
訴訟提起をせざるを得ません。
3 ご質問③
>その他注意事項があれば教えてください。
上記で書いたように、今回のご質問のケースでは、
契約書がなく、口頭でのやりとりと
なっている点が、一番のリスクとなります。
何らの証拠もない状態では、訴訟で証明することは
できませんので(Aの証言はありますが、
当事者の証言として、裁判所はあまり信用を
置かないのが一般的です)、
訴訟をやるとすれば、
これらの点に関して、メールやlineなど、
文字に残るやりとりを探してください。
これらの証拠がなければ、
訴訟での見通しは、厳しいものとなります。
よろしくお願い申し上げます。