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第三者ためにする特約を付した売買契約

表題につきご教授ください。

地主・・個人 【A】
契約書の買主・・関与先法人(不動産業) 【B】
所有権の移転先となる者 【C】

添付の特約条項は別々の契約(土地の譲渡)ではありますが、【A】、【B】
は同一の者です。
取引として 【A】→【B】→【C】の流れになります。
登記上所有権は【A】→【C】となります。

また、添付Aは【C】から【B】及び【B】から【A】へ譲渡代金の支払いがあります
が、
添付Bは【C】→【A】への直接支払いです。

この場合、添付A、Bにおいて【B】は
①【B】の譲渡の事実はなく仲介手数料分(添付Aの場合は入出金の差額)のみを売上
として益金計上
②契約額全額を売上及び仕入として益金及び損金に計上

いずれの処理方法が適切でしょうか。
また、その他注意すべき点等ありましたらご教授下さい。
添付は別メールにてお送りいたします。

よろしくお願い致します。

1 前提

>地主・・個人 【A】
>契約書の買主・・関与先法人(不動産業) 【B】
>所有権の移転先となる者 【C】

>添付の特約条項は別々の契約(土地の譲渡)ではありますが、【A】、【B】
>は同一の者です。
>取引として 【A】→【B】→【C】の流れになります。
>登記上所有権は【A】→【C】となります。

>また、添付Aは【C】から【B】及び【B】から【A】へ譲渡代金の支払いがあります
>が、
>添付Bは【C】→【A】への直接支払いです。

確認しましたところ、
このようにはなっておらず、
以下のものではないでしょうか。

添付A・・・売主【A】 買主【B】
添付B・・・売主【B】 買主【C】

つまり、同一不動産について、
添付A・・・【A】→【B】契約
添付B・・・【B】→【C】契約

の2本の契約ということで
よろしいでしょうか。

それを前提に以下、契約の特約内容を整理しますと

◯【A】→【B】契約

・AとBは、該当土地について売買契約を締結する
・この契約は、第三者のためにするものであり、
所有権はAから直接、Bが指定した第三者(C)に移転する

・売買代金は、Bが支払う

◯【B】→【C】契約

・BとCは、当該土地について、「他人物」売買契約を締結する
(こちらは無名契約とするものもありますが、本契約書では他人物売買とされています。)
・CがBに売買代金を支払う
・売主は、登記名義人(つまりA)から直接Cに所有権を移転させる

というものになるかと思います。

なお、当メーリングリストは、
下記の
☆メーリングリスト法律相談会運用のルール
の通り、ウイルス拡散防止のため、
ファイルを添付できないシステムと
させていただいております。

今回は、弊社から
別メールでお送りいただくというご連絡を
してしまいました。大変失礼いたしました。

ルール上は、添付ファイルの内容を
メール文にご記載いただければと思います。
また、整理が難しい場合には、
別途、下記の無料相談という形でも、
対応可能ですので、お申し付けください。

こちらのサーバにアップするという
形も検討しましたが、今のところ、
ウィルス拡散防止と
守秘義務や著作権法に反する
ケースが増えるリスクとの兼ね合いで
こちらの方法でもルール化が難しいかと考えております。

2 ご質問

>この場合、添付A、Bにおいて【B】は
>①【B】の譲渡の事実はなく仲介手数料分(添付Aの場合は入出金の差額)のみを売上
>として益金計上
>②契約額全額を売上及び仕入として益金及び損金に計上
>いずれの処理方法が適切でしょうか。

3 回答

(1)当該スキームの趣旨

損益の認識についても、
当該スキームが生まれた
流れが関連するかと思いますので、
その点から解説します。

まず、このスキームは、
平成16年の不動産登記法の改正
において、中間省略登記ができなく
なったことから

転売益を得つつ、
登録免許税、不動産取得税などを節税する
方法として、
不動産業者の方々が、
利用するようになったものです。

この方法による登記は法務省も認めているところです。

つまり、

【A】→【B】の売買契約を第三者(C)(受益者)
のための契約として、【B】→【C】の他人物売買契約により
直接、【A】→【C】に所有権が移転するように
設計されていますので、

登記上も、Bが登記をしなくても良いと
されています。

形式的には
A→Cの売買はないので、
売買の媒介にはあたらない
のですが、

実質的には、
Bが所有権を得ていない点で、
売買の媒介にあたり、手数料の制限した宅建業法46条に反するのでは
ないかという点や

他人物売買の制限違反になるという点などの
問題がありましたが、

業界の政治力の強さも合わせて、

宅建業法施行規則の改正により、
「他人物の所有権の移転を実質的に支配していることが
客観的に明らかである場合等」

は、他人物売買の制限の例外を設ける
などの措置がとられ、

一応、公的にも適法なものとして
扱われています。

(2)損益の認識について

実態を重視する税法の考えから
すると、

個人的には、
Bが所有権を取得していない以上、

実質的には、仲介料として、
>①【B】の譲渡の事実はなく仲介手数料分・・・のみを売上
>として益金計上

という考えも有力だとは思います。

しかし、

・上記のこのスキームの流れや
(仲介手数料規制などがかからない)

・Aの譲渡所得金額の計算などとの整合性
(AはBと契約した金額が収入金額となる)

・実際にAからBに対して法的な債権(代金請求権)が立ち、
 BからCに対して、法的な債権(代金請求権)が立つ

ことなどからすると、

>②契約額全額を売上及び仕入として益金及び損金に計上

ということになるのが一般的な理解
なのかとは思います。

各法律にまたがる複雑な問題で
明確な解があるわけではないとは
思いますので、恐縮ですが、

よろしくお願い申し上げます。