その他

深夜酒類提供飲食店営業について

【前提】
・代表取締役が100%株式所有している法人が深夜酒類提供飲食店を営業。
・店の責任者は店長であり、代表取締役は店におらず別の事業に注力している。

【相談内容】
この前提で、仮に店長の判断で風営法上の「接待」を行い、
違反してしまった場合、どのような行政指導や罰則がありますか?

一般論で構いませんので教えて下さい。
よろしくお願い致します。

1 ご質問

>【前提】
>・代表取締役が100%株式所有している法人が深夜酒類提供飲食店を営業。
>・店の責任者は店長であり、代表取締役は店におらず別の事業に注力している。

>【相談内容】
>この前提で、仮に店長の判断で風営法上の「接待」を行い、
>違反してしまった場合、どのような行政指導や罰則がありますか?

2 回答

まず、前提として、
風営法上の「接待」(2条3項)に
あたる行為をして、客に飲食をさせる営業は、
風営法上の「風俗営業」に該当し(1項1号)、
許可が必要です(3条1項)。

したがって、無許可営業は風営法違反となります。

(1)行政指導その他の行政側の行動

風営法に反して、無許可風俗営業を
してしまった深夜酒類提供飲食店に対する
行政指導その他の行政側の行動としては、

①指示(34条1項)
②営業停止(34条2項)

が考えられます。

ア ①指示について

「指示」は、違反状態の解消のための措置や
将来の違反の防止のための措置などを
具体的に示し、営業者に対し、
これに従うよう求めるものです。

許可を得ずに接待行為をすることを
やめるさせるための具体的な指示が
なされるものと思われます。

軽微な違反に対しては、この措置が
なされることが多いでしょう。

なお、「指示」という言葉からすると
「行政指導」ではないかという印象を受けますが、
行政側の解釈では、講学上の「行政処分」
であるとされています。

したがって、この「指示」に違反した場合には、
「処分」に違反したものとして、
次の営業停止処分がなされることにも
つながりえます(34条2項)ので、
注意が必要です。

イ ②営業停止について

「営業停止」は、6か月以内の期間を定め、
飲食店営業をやめるように求めるものです。

一般的には、指示処分に従わなかったり、
軽微な違反であっても何度も繰り返したりするような
悪質な場合になされることが多いと思います。

なお、ご相談者様は、食品衛生法上の飲食店営業許可も
とられていると思いますが、
法律の建付上、風営法違反が、飲食店営業許可の
取消の理由にはなっていないことから、

飲食店営業の許可まで取り消されると
いうことはないと考えます。

(2)刑事罰について

無許可風俗営業は、風営法上の
罰則の中ではもっとも重い、
「2年以下の懲役」若しくは「200万円以下の罰金」又はその両方
に処されることになります(49条1号)。

そして、この場合に罰則の対象となるのは、
無許可営業の行為者に加えて、
法人自体も罰せられることが
あります(同法56条)。

>【前提】
>・代表取締役が100%株式所有している法人が深夜酒類提供飲食店を営業。
>・店の責任者は店長であり、代表取締役は店におらず別の事業に注力している。

>【相談内容】
>この前提で、仮に店長の判断で風営法上の「接待」を行い、違反してしまった

このような前提のもとでは、
まず行為者である店長は罰則を
受ける可能性が高いです。

また、営業している法人も
罰則の対象となるでしょう。

>・店の責任者は店長であり、代表取締役は店におらず別の事業に注力している。
>仮に店長の判断で風営法上の「接待」を行い、違反してしまった

このような事実関係のもとでは、

代表取締役は店長の無許可風俗営業には
かかわっていないものとして判断され、
代表取締役をも無許可風俗営業の「行為者」として、
罰則の対象となるおそれはさほど高くないと思われます。

ただし、実際に行ったのは店長だが、
代表取締役もこのような無許可営業を行う
ことにつき認識していた(共謀していた)と
認定され、罰則の対象となる可能性もあり得ます。

よろしくお願い申し上げます。