—
財産評価基本通達26(貸家建付地の評価)
貸家(94≪借家権の評価≫に定める借家権の目的となっている家屋をいう。以下同じ。)の敷地の用に供されている宅地(以下「貸家建付地」という。)の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する~
—
ここでいう、「借家権の目的となっている」という用語の解釈については、借地借家法の適用を受ける借家権と解釈されています。このため、いわゆるウィークリーマンションなどについては、この通達の対象にならないと言われます。
これに関連してですが、例えば自宅のリフォーム等を行う者に対し、数カ月程度貸すことを専門にしているアパートなどは、その賃借人が借家権を主張できるなど、借家権の目的となり得るのでしょうか。
調べてみましたが、1年未満の場合契約期間の定めのないものとして、借地借家法上取り扱われるとありました。この規定は借地借家法29条のようですが、となると借地借家法の適用があるのではと思うのですが。
借地借家法の適用関係がよく分からず、お尋ねさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
>ここでいう、「借家権の目的となっている」という用語の解釈については、
>借地借家法の適用を受ける借家権と解釈されています。このため、いわゆる
>ウィークリーマンションなどについては、この通達の対象にならないと言わ
>れます。
>これに関連してですが、例えば自宅のリフォーム等を行う者に対し、数カ月
>程度貸すことを専門にしているアパートなどは、その賃借人が借家権を主張
>できるなど、借家権の目的となり得るのでしょうか。
2 回答
(1)借地借家法適用の原則
借地借家法は、「建物」の賃貸借に
適用されます(借地借家法1条)。
したがって、基本的には、
「建物」の賃貸借である限りは、
借地借家法の適用を受けることになり、
>調べてみましたが、1年未満の場合契約期間の定めのないものとして、借地
>借家法上取り扱われるとありました。この規定は借地借家法29条のようで
>すが、となると借地借家法の適用があるのではと思うのですが。
適用の有無は、賃貸借の契約期間には左右されません。
あくまで「建物」の賃貸であるかどうかが基準です。
(2)借地借家法の適用がない例外(一時使用目的の賃貸借)
ただし、建物の賃貸借であっても、
借地借家法の適用を受けないものとして、
「一時使用目的賃貸借契約」(借地借家法40条)
があります。
~~~~~~~~
(一時使用目的の建物の賃貸借)
借地借家法第40条
この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
~~~~~~~~
要件は
「一時使用のため」に建物の賃貸借をしたことが明らかであること
です。
そして、裁判例では、
・賃貸借契約締結の動機
・目的建物の種類、構造
・賃借人の賃借目的および契約後の使用状況
・賃料その他の対価の多寡
・期間その他の契約条件等の諸要素
などを勘案し、
長期継続が予期される通常の借家契約をなしたものでないと認めるに足りる合理的な事情が客観的に認定される
かどうかにより判断されるものとしています。
>これに関連してですが、例えば自宅のリフォーム等を行う者に対し、数カ月
>程度貸すことを専門にしているアパートなどは、その賃借人が借家権を主張
>できるなど、借家権の目的となり得るのでしょうか。
自宅リフォームのための仮住まいという目的のもと、
数か月程度という短期間に限って貸すという
契約であれば、一時使用目的による賃貸借であり、
借地借家法は適用されないと
認定できる場合が多いと思います。
(3)定期借家契約
ただ、短期間貸す場合に、
「定期借家契約」の方式が採用されることもあります。
「定期借家契約」は、借地借家法の適用はあるが、
通常の賃貸借と異なり、賃貸期間の満了により、
当然に終了する賃貸借です。
(通常の建物賃貸借は、期間が満了しても、
正当な理由がなければ、貸主からの更新拒絶はできません)
一時使用目的の賃貸借と異なり、
借地借家法の適用自体はありますが、
一部の条項(契約の更新に関する条項など)が
適用されなくなります。
定期借家契約とするには、以下のような手続を
踏む必要があります(借地借家法38条)。
・書面により契約すること(契約書を作ること)
・期間の定めをすること(無期限という契約はできません。)
・借主との間で、契約の更新がないことを合意すること(通常は契約書に更新がないことが入っています)
・契約書とは別に、更新がない契約であることを説明する書面を交付すること
・契約の更新がないことの説明をすること
このような方式に則って行われていれば、
定期借家契約になり、一時使用目的の
賃貸借とはなりませんので、一部の条項を除いて、
借地借家法の適用自体はあるということになります。
(4)蛇足
財産評価通達上、
通常の建物賃貸借と定期借家契約において、
同様に扱うという考えが現状、一般的のようです。
(借地借家法の適用を受ける借家権という意味では
その通りなので。)
ただ、通常の賃貸借のケースですと、
正当な理由がなければ、更新拒絶が
できない一方、定期借家契約では、
期間満了で当然終了となりますので、
経済実態が大きく異なるのかと
思いますので、
疑問がある部分だなと思っています。
よろしくお願い申し上げます。