以下の記事で、法定取消権に関する解説がありますが、その範囲が通達等でも明確ではありません。具体的には、民法424条の詐害行為取消権や破産法160③の否認権も、これに当たるのでしょうか。
https://zeirishi-law.com/minpou/zouyo/3
破産法160③の趣旨は詐害行為取消権と同様と考えておりますので、詐害行為取消権が法定取消権であれば、これも対象になると考えております。
よろしくお願いいたします。
1 ご質問
>以下の記事で、法定取消権に関する解説がありますが、
>その範囲が通達等でも明確ではありません。
>具体的には、民法424条の詐害行為取消権や
>破産法160③の否認権も、これに当たるのでしょうか。
2 回答
法定取消権という言葉の
意味ですが、これは法律上定まった
ものではなく、
特に「約定」や「合意」
と区別するために利用されることが
ある講学上の概念です。
ですので、明確に何を含むかは
論者によって必ずしも一致するという
わけではないようにも思いますが、
一般的には、詐欺、強迫や未成年者
の行為の取消しなどを指して利用する
ものかと思います。
少なくとも、現行民法の詐害行為
取消権は、
・詐害行為を取消し
かつ
・逸出した財産の返還を請求する権利
として、一般の取消しとは性質を
異にする相対的無効の効果を有するものと
解されていますし、
訴訟で行使しなければならいものですので、
「法定取消権」という言葉が講学上
利用される文脈では、詐害行為取消しは
含んでいないものと思われます。
あくまでも、「法定取消権」という
言葉は通達上利用されている言葉ですので、
法定取消権に当たるか否かという
議論ではなく、
税法の視点から、詐害行為取消しがあった場合
の更正の請求の可否(通則法23条2項等)などの場面により
要件該当性の文脈で考えていくものなのかと思います。
よろしくお願い申し上げます。