民法

資産譲渡契約書に問題はないか?

別会社のアパレル事業を独立させる形で立ち上げる
新会社と顧問契約を結んだのですが、資産譲渡の契約書作ったから
見てくれと言われまして、ぜんぜん大した内容ではないのですが
念の為、見ていただき、コメントいただけたらとおもいます。
(引き渡し場所や会社名などはブランクにさせていただきました。)

資産譲渡契約書
https://drive.google.com/file/d/1iNGhe2ATFVWm0x1qqAYopxdgZ9B9tYQ6

別会社のほうで立ち上げたアパレル事業の資産と在庫を引き継ぎ、
10年間の分割払いで送金していくそうです。
譲渡する金額は先方の税理士に計算してもらいます。
たぶん簿価だとおもいます。

そんな感じなのですが、この契約書で問題なさそうですか。
もし僕の方で見落としている部分があればご指摘いただけますと幸いです。

1 ご質問

>別会社のアパレル事業を独立させる形で立ち上げる
>新会社と顧問契約を結んだのですが、
>資産譲渡の契約書作ったから
>見てくれと言われまして、ぜんぜん大した内容ではないのですが
>念の為、見ていただき、コメントいただけたらとおもいます。

2 回答

普段ご質問いただいているような
この条項は何を意味しているのかや
このような遺言があるが…..などの
ご質問であれば、メーリングリストでも回答可能ですが、

契約書全体のリーガルチェックでリスク項目を
上げるとなるとどうしても、お客様から個別事情などの
ヒアリングなしでは行うことができません。
(お客様の話を聞かず申告書を作成するようなもの。)

もし、個別的なものが必要でしたら、
会員様及びその関与先様限定の無料面談相談を
ご利用ください。

ですので、あくまでも一般論として回答します。
(契約書を見る限り、同族間で争いのない取引だとは思いますので、
どこまで必要かは別として)

(1)対象財産について

建物については、通常所在地などで
特定して記載するものになります。
括弧書きでも良いと思います。

また、在庫についても、
「譲渡の効力が発生する時点で存在するすべての」

という形でどの時点の在庫なのかという
点は確定されるものかと思います。

なお、今回の契約書は、「資産」譲渡契約書
とはなっていますが、

仮に既存のアパレル事業を
新会社で行うというのが実態だとすると、

会社法上の「事業譲渡」に該当する可能性が
非常に高いです(その他、取引先や従業員も
一旦やめて新たに契約するだけだとしても、
実態は事業に付随して移転しているものと
捉えられますので、そのようなケースでは
確実に事業譲渡になるでしょう。)

その場合、会社法上は
別会社の方で、株主総会決議が必要に
なりますし、以下のような規制
がかかります。

こちらは事実認定と評価の問題
が大きいので、ヒアリング
なしではなんとも言えませんが、念のため
記載します。

ア 詐害的な譲渡の場合

譲渡価格は別会社の税理士の
先生が算定するということですが、
借入金があるようなケースで、

別会社の債権者を害する
詐害的な事業譲渡になると

新会社も別会社の借入金を
譲渡財産の価格を限度として、
返済義務を負うことになるケースも
ございます(会社法23条の2)し、
詐害行為取消権といって、譲渡自体を
取消されることもありますので、
ご注意ください(特に今回は、
支払いが長期に分割されていますので、
債権者を害しやすい類型かとも思われます)。

イ 屋号などを続用する場合

また、商号の続用はないかと思いますが、
屋号(例えば、アパレル店の店名など)
の続用などがあり、債権者が同一営業主体による
事業が継続していると信じることに正当な
理由などがある場合には、新会社も弁済する責任を
負う場合もあります(会社法22条類推適用)。

その場合に備えて、新会社の方で、債務を弁済する
責任を負わない旨の登記などの対応をする
必要がありますので、ご注意ください。

(2)その他

事業譲渡に該当する契約であると
すると、
通常は、表明保証や秘密保持なども
入れることになります。
(ただ、同族間の場合には、入れない
で行われることもあります。)

また、事業譲渡に該当する場合には、
通常、別会社が今後、競業避止義務を
負うか否かについても規定するところかと思います。

よろしくお願い申し上げます。