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派遣業のグレーゾーンについて

派遣業のグレーゾーンについて教えていただきたく投稿しました。

【前提】
・私の顧問先A社は人材派遣業を行う法人
 (派遣の免許は適正に取得済)
・派遣先は建設系のB社

・取次業者?のC社から次の提案が来た
 ・これまでC社 → B社で派遣してきた社員がいるが、
  法的にグレーゾーンである
 ・そこで、A社 → B社の派遣に変更したい
 ・ただし、社員の所属を便宜的にC社 → A社に変更するだけで、
  現場の実務的なことはC社が継続して行う
 ・C社としては実質的な仕事は行っているから、
  B社 → A社に流れる派遣料の一部がほしい

【質問】
この場合、A社がC社に支払う理由として、
「派遣社員の現場実務ケアの業務委託」など、
何らかの業務委託として契約・支払いをすることはできますか?

A社の総務・経理担当者も私も派遣関連の法律事務が分からず、
何が適法で何が違法なのかがわからない状態です。

業界的にはこのような状態はグレーゾーンだけど、
A社 → C社の支払いをコンサル料などとして払っているらしい、
とC社の担当者は言っているそうですが…

よろしくおねがいします。

1 ご質問

>この場合、A社がC社に支払う理由として、
>「派遣社員の現場実務ケアの業務委託」など、
>何らかの業務委託として契約・支払いをすることはできますか?

2 回答

(1)建設業務の派遣の禁止

>・派遣先は建設系のB社

とのことですが、いわゆる
建設業務に従事するために、
労働者を派遣することは禁止されています(派遣法第4条1項2号)。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
労働者派遣法第4条1項
何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。
二 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

派遣業の免許を取得していても、
建設業務への派遣は行うことはできません。

この「建設業務」というのは、
これらの現場作業に直接従事するものを
いいますので、たとえば、
建設会社への派遣であっても、事務職員などの
場合には、この禁止の対象にはなりません。

まずは、派遣先でどのような業務を行うのか(そもそも派遣ができるのか)を
ご確認いただた方がよいかと思います。

ここの問題はクリアした上で、次は(2)
の問題になります。

(2)労働者派遣の要件該当性

次に、労働者派遣として適法に行えるのは、
以下の要件を満たす場合です(労働者派遣法第2条1号)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
労働者派遣法第2条1号
労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、・・・とする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

上記のとおり、「適法な労働者派遣」では、派遣する人材が、
「自己の雇用する労働者」であることが、前提となっています。

>・ただし、社員の所属を便宜的にC社 → A社に変更するだけで、
> 現場の実務的なことはC社が継続して行う

この「便宜的に所属をA社にする」というのが、
どのようなことを行われるのかわかりかりませんが、
今回のケースでは、
たとえば「出向」のような形で、
C社→A社とされるのであれば、
「自己の雇用する労働者」とは評価できないケースが
多いでしょう。

そうではなく、社員がC社を退職して、
A社に新たに雇用されるということであれば、
形式的は、派遣業の要件は満たすかと思います。

ただ、その社員をこれまでC社 → B社で
継続的に派遣してきたという経緯や、
今後もC社が
現場の実務的なことも継続して行う(実質A社が関与しない)と
いうことであれば、これまでと何ら実態は変わっておらず、

まさに、形式的に所属を変えただけで、
仮装されたものであり、「自己の雇用する労働者」
という要件を満たさないと認定される
可能性はなくはないところです。

>この場合、A社がC社に支払う理由として、
>「派遣社員の現場実務ケアの業務委託」など、
>何らかの業務委託として契約・支払いをする

というように、B社に業務委託として、
派遣業に関する事務を委託することを禁止する規定は
ありませんが、このようなことをした場合に、
「自己の雇用する労働者」という要件の
判断において、形式面を仮装しただけという
ことを基礎付ける証拠にはなってしまうという
ことはあると思います。

>業界的にはこのような状態はグレーゾーンだけど、
>A社 → C社の支払いをコンサル料などとして払っているらしい、
>とC社の担当者は言っているそうですが…

確かに事実認定と評価の問題になりますので
グレーゾーン?ということにはなるかと
思います。

A社の立場からすれば
社員の雇用リスクも負うことに
なる上、
派遣業の取消しなどがされる
リスクが一応は残りますので、

積極的にはおすすめすることは
できません。

ただし、上記リスクを勘案の上で、
行うという場合には、

最低限、
・社員からC社への退職届
・社員とA社との労働契約書の締結

という証拠は残されるようにしていただければ
と思います。

よろしくお願い申し上げます。