会社概要 自動車用部品の金型製造業
自社制作10%、外注委託90%
売上先からの売上金額の入金が、手形での入金がほとんどのため、支払サイトより入
金サイトの
方が長く、資金繰りが厳しく、
手形を割り引いたり、短期借入をして、外注先、仕入先への支払いをしています。
そのため、創業当初から慣用的に、仕入、外注先へ振込を行う際に、
手形割引料を差し引いて支払いを行っています。
例:外注費 500,000円
手形割引料 外注費×3%×132日/365日
=5424円
支払金額 500,000円‐5,424円=494,576円
割引料の計算式について
・手形割引料の3%は創業当初の社長が決定し、そのまま今でも使っている
(現在の実際の割引料は1.6~1.8%程度)
・132日は手形期間であるが、実際のところは4カ月である(120日)
・この計算式と金額については、毎月振り込む際に先方へ文書で渡している。
・割引料を差し引くことについて、断られた会社へは先方から請求された金額をその
まま振り込んでいる。
① 売上先が手形で支払ってくることを理由に、このような割引料相当額を、外注
先、仕入先に負担させていいものでしょうか。これについて、何か法律的に問題はないでしょうか。
② もし、このような取引が法律的には問題ないようでしたらどの程度の率で行うの
が妥当でしょうか。
よろしくお願いいたします。
(1)ご質問
>① 売上先が手形で支払ってくることを理由に、このような割引料相当額を、外注
>先、仕入先に
>負担させていいものでしょうか。
>これについて、何か法律的に問題はないでしょうか。
(2)回答
ア 下請法の規制
基本的に、契約自由が原則ですので、
相手が値引き(割引)に応じてくれる
のであれば問題はないのですが、
下請業者いじめの防止という観点から、
下請法により、値引き(減額)が
規制されている場合があります。
イ 下請法の対象となる取引
(ア)製造委託
下請法は、規制対象となる取引を
4類型定めていますが、ご質問のケースでは、
その中の「製造委託」に該当する取引が
含まれている可能性があります。
「製造委託」(下請法2条1項)とは、
事業者が「物品若しくはその半製品、
部品、附属品若しくは原材料若しく
はこれらの製造に用いる金型」の製造を
他の事業者に委託することをいいます。
単純に、事業者が製造している製品の
売買であれば、これには当たりませんが、
「こういうものを作ってほしい」などと
規格、品質、形状、デザインなどを指定して、
製造を委託する取引が「製造委託」に当たります。
ご質問の会社さんの事業内容からすると、
「外注先」の中に、このような類型の
取引にあたるものがあるのではないかと
思われます。
(イ)事業者の規模(資本金)に関する要件
取引の内容が「製造委託」にあたると
しても、すべてのケースで下請法の
適用を受けるわけではありません。
下請法は、規模の大きい事業者が、
規模の小さい零細業者を不当に抑圧する
ことを防止するためのものなので、
資本金に関する要件が定められています。
以下のどちらかのパターンに当たる場合のみ、
規制の対象になります。
(パターン①)
御社(発注者):資本金3億円超え
外注先(受注者):資本金3億円以下(個人事業者を含む)
(パターン②)
御社(発注者):資本金1000万円超え3億円以下
外注先(受注者):資本金1000万円以下(個人事業主を含む)
上記のいずれかのパターンに該当していれば、
その当事者間での取引は、下請法上の
資本金要件を満たす(該当する)ことになります。
以上、(ア)、(イ)の2つともの要件を満たす場合には、
下請法の適用を受け、規制に従う必要があります。
ですので、まずは、この要件を満たす
取引があるかどうかをチェックしてください。
ウ 代金額の減額禁止
下請法の適用を受ける場合、
代金の減額を行うことが禁止されています(下請法4条1項3号)。
これは、下請業者の合意・承諾が
あっても認められません。
ご質問では、
>例:外注費 500,000円
> 手形割引料 外注費×3%×132日/365日
> =5424円
> 支払金額 500,000円‐5,424円=494,576円
というように代金額を減額して
支払われているということなので、
この取引が、上記の下請法の適用要件を
満たすものであれば、禁止されている行為に
該当してしまいます。
2 ご質問②
(1)ご質問
>② もし、このような取引が法律的には問題ないようでしたらどの程度の率で行うの
>が妥当でしょうか。
(2)回答
下請法の適用がないということであれば、
基本的には、減額についても、当事者間の
合意により決めていただければ問題は
ないかと思います。
妥当な率というものがあるわけでは
ありませんが、
(あくまでも当事者で納得できるだけの
数字で合意するということになります。)
>そのため、創業当初から慣用的に、仕入、外注先へ振込を行う際に、
>手形割引料を差し引いて支払いを行っています。
というのが目的ということなので、
>・手形割引料の3%は創業当初の社長が決定し、そのまま今でも使っている
ではなく、
>(現在の実際の割引料は1.6~1.8%程度)
というのを、基準に算定していただいた方が
筋が通るかと思います。
よろしくお願い申し上げます。