現在その取締役は非常勤であり、給料をもらっている。
宜しくお願い致します。
>法人がさいたま市で美容室を経営しており、その法人の平取締役が新宿で個人事業の美容室を開業した場合、競業避止義務上問題はあるか。
>現在その取締役は非常勤であり、給料をもらっている。
2 回答
取締役の競業避止義務の対象となる
「株式会社の事業の部類に属する取引」
(会社法356条1項1号)について、
営業地域が異なれば、市場競合がないとして、
競業取引にはあたらない可能性はあります。
さいたま市と新宿で、
市場が競合するかどうかについて、
顧客の流動性をメインに判断する
ことになりますが、
美容室という性質上、
さいたま市と新宿で、
顧客の流動性がないとまでは
いえないと思います。
最終的には裁判所の判断にはなりますが、
市場としては競合する可能性があり、
少なくとも、問題がないといえるほど
リスクのないものではないと考えます。
したがって、取締役会設置会社で
あれば取締役会の、
非設置会社であれば
株主総会の承認はとっておくべきでしょう。
(会社法356条1項、365条)
これが競業取引にあたり、
承認を得ていなければ、
競業避止義務違反による
損害賠償の金額が、
取締役が取引によって得た利益額と
推定されてしまうので、
得た利益額すべてを返還することになるという
事態もあり得ます(会社法423条2項)。
また、当該規定に抵触しないとしても、
取締役は、会社に対して、
忠実義務を負っています(会社法355条)。
取締役会の承認自体が必要になるというわけでは
ありませんが、
取締役が忠実義務に違反する行為をし、
実際に法人に損害が生じれば、損害賠償請求を
なされるリスクも一応残ります。
なお、ご質問の取締役は非常勤ということですが、
この点は、上記の判断には影響を与えません。
よろしくお願い申し上げます。