民法

家事費の対価性について

夫婦間が不仲になったので、専業主婦の妻が生活費とは別に家事費の対価として一日1000円47年間分(合計約1700万円)を遡って請求することが可能かどうか。
また請求中に夫が死亡して相続があった場合、妻に対する債務として認められるか。
もし仮に家事費の対価を、毎月請求してその都度もらうことは可能かどうか。

宜しくお願い致します。

1 ご質問

>夫婦間が不仲になったので、専業主婦の妻が生活費とは別に家事費の対価として
>一日1000円47年間分(合計約1700万円)を遡って請求することが可能かどうか。
>また請求中に夫が死亡して相続があった場合、妻に対する債務として認められるか。
>もし仮に家事費の対価を、毎月請求してその都度もらうことは可能かどうか。

2 回答

生活費をもらっている以上、
家事を行っていることの対価として、
妻から夫に対して、「家事費」の
ようなものを請求することはできません。

妻から、法律上、金銭的な請求ができる場合としては、
以下のようなものが挙げられます。
①婚姻費用の請求(民法760条)
②財産分与の請求(民法768条)

①は、夫婦が別居している場合に、
別居開始~離婚するまでの間分の
生活費の請求ができるという趣旨のものです。
(収入が多い方が少ない方に支払うもので、
一定の算定基準に則って計算することができます)

これは、同居している場合(同居期間中)には
請求できません。
なお、生活費を全くもらっていない、もらっていても
生活が維持できないレベルに少ないと
いうような場合には、同居中でも請求できる
ことがないではありませんが、
極めて例外的なケースです。
(なお、「家事をしているからその対価として」という
趣旨のものではありません)

なお、婚姻費用については、具体的金額が
調停等で確定して履行期に達したものは、
金銭的な請求権として相続されますが、
それ以外は一身専属的な権利義務であり、
相続はされません(民法896条但書)。

ですので、
>請求中に夫が死亡して相続があった場合、妻に対する債務として認められるか。
単純に請求しているというのみでは、
債務としても、認められません。

②は、離婚時(または、離婚後)に、
結婚中に夫婦で築いた財産(共有財産)を、
夫と妻で分けるというものです。

財産分与を行う場合には、
共有財産を分ける配分を決めることになりますが、
この配分を決めるにあたっては、
共有財産を築くにあたり
それぞれがどの程度貢献したか、
というのが1つの考慮要素になります。

夫のみが働いて給与を得ている場合でも、
妻は家事労働を行うことにより、共有財産を
築くのに貢献したととらえ、
原則としては、5:5の割合が採用されるのが
一般的です。
(特殊な事情があれば別ですが)

そういう意味では、妻が家事を行っていた
という事実の金銭的な評価は、
この部分でなされることになるといえるでしょう。

よろしくお願い申し上げます。