役員CはA社とB社の両方の取締役でした。
B社が合併で消滅するときに役員CはB社から退職金は支給されませんでした。
役員CがA社を退職することになりました。
この場合に、役員CはA社を退職するときにA社で支給された役員報酬と勤続期間は退職金の計算の基礎となりますが、B社に在籍していた期間の役員報酬と勤続期間に応じた退職金を、今回A社を退職するときに加算して支給してもよいものでしょうか。
法人税法基本通達9-2-33、9-2-34を参照すると合併に際して、合併法人の役員になる者に対して被合併法人から退職給与支給することは損金になるとありますが、今回のケースについては説明されてないと思います。
会社法等に根拠となるようなものはあるのでしょうか?あるとすれば、具体的にどのように計算することが考えられるかを簡単な例示で結構ですので教えていただけると幸いです。
>となりますが、B社に在籍していた期間の役員報酬と勤続期間に応じた退職金を、今回A社
>を退職するときに加算して支給してもよいものでしょうか。
>会社法等に根拠となるようなものはあるのでしょうか?あるとすれば、具体的にどのように
>計算することが考えられるかを簡単な例示で結構ですので教えていただけると幸いです。
1 会社法の規制について
まず、会社法の規制からすると、
役員退職金については、株主総会の
承認(または株主総会からの委任の範囲で
取締役会での承認)を得た金額であれば、
問題なく支給可能です。
2 法人税法との関係
この部分については、
理論上は、難しい点もありますし、
法文からは明らかではありませんし、
判例などがあるところではありません。
以下、私見を含む内容になりますが、
ご参考になさっていただければと思います。
私見としては、以下の理由で、
先生のご指摘の
>B社に在籍していた期間の役員報酬と勤続期間に応じた退職金を、
>今回A社を退職するときに加算して支給してもよいものでしょうか。
は可能ではないかと思います。
(1)加算を否定する考え方
加算を否定する考え方としては、
合併により、B社が消滅している
以上、Bの役員の地位もその時点で
消失されているため、
その後、A社からの退職金にB社における
役員報酬と勤続年数などを考慮して、
支給されるのは税務上はおかしいと
するものかと思います。
(2)加算を肯定する考え方(私見含む)
しかし、上記の対応はあまりにも形式的に
すぎますし、
合併は「包括承継」であり、B社の法人格は
法的に形式的には消滅しますが、実態的には
B社がA社の内部に入るという形に近いものです。
また、ご指摘いただいた
法人税法基本通達9-2-33、9-2-34
の改正経緯を見ますと、
・旧基本通達4-2-11
↓
・基本通達9-2-23
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/020404-2/01/9_2_23_3.htm
↓
・現基本通達9-2-33
という経緯になっています。
上記URLの記載どおり、
現基本通達9-2-33の前身である
基本通達9-2-23は、
旧基本通達4-2-11
の取り扱いを踏襲したものとされています。
そして、旧基本通達4-2-11
には、
「非合併法人において当該役員の退職給与として
支給すべき金額を合理的に計算できない場合には、
合併法人において、その額が具体的に確定した日に
属する事業年度の損金とすること」
つまり、合併法人(A社)において、株主総会等の決議で
支給が決定された時点で、事業年度の損金とするとの
注意書きがありました。
この点については、注意書きがない現在においても
当然の前提として認められると考える見解が一般的
なようです(DHCなど)。
そうであるとすると、
現行法人税基本通達9-2-33は、
支給決議などで確定していなくとも、
未払金として損金経理をした場合には、
損金として認める(できる)が、
損金経理をしていない場合には、
合併法人(A社)の支給決議で
確定した時に損金とできるという
ように解釈することができると思われます。
そして、
基本通達9-2-34により、A社・B社において
役員であったCにもこの考え方はあてはまるかと
思います。
ですので、株主総会決議で決定すれば、
>B社に在籍していた期間の役員報酬と勤続期間に応じた退職金を、
>今回A社を退職するときに加算して支給してもよいものでしょうか。
このように考えることも差し支えがないかと思います。
私見を含む内容になってしまいますが、
よろしくお願い申し上げます。