一境界線の両側の二所有権者(AとB)による境界線の現地立会いが進行しません。
理由としては、過去の経緯からAとBの仲が悪いように見受けます。
当方の顧客はAで、A所有の一筆の土地をを二筆に分筆登記する業務を土地家屋調
査士Cへ委任しています。Bは土地管理を不動産仲介業者Dへ委任していて、今ま
での交渉はCとDの間で進められてきました。
境界線は実地測量により明かになり、Aの塀が数センチB側へ越境しています。
Cは測量図を9/14にDへ渡し、Dはその内容をBへ説明したとのことです。
10/10になってもBからDへの返事はない、とのことです。
今回の交渉の目的は、AとBによる境界線の実地立会いを実現し、Bより筆界確認
書へ署名・押印を頂く事です。この書面により、土地家屋調査士Cは分筆登記を
実行できます。
AとBの両者間の感情のわだかまりは、当方の推測の域でもあり、
どうしたら良いのか方策が見当たらない状況です。
法律論や方策等があれば、ご教示の程お願い致します。
>AとBの両者間の感情のわだかまりは、当方の推測の域でもあり、
>どうしたら良いのか方策が見当たらない状況です。
>法律論や方策等があれば、ご教示の程お願い致します。
2 回答
(1)Bに説明し説得して境界確認書を取得する
前提として、
A側から隣人であるBに対して、
立会や境界確認書への署名押印を
法的に強制する権利はありません。
なので、基本的には、
協力の上境界が確定できないと
分筆の登記ができないことを
Bに丁寧に説明し、協力してくれるよう
説得するしかありません。
立会を拒否する理由として、
単に面倒ということだけであれば、
説得に応じてくれる可能性は
あると思います。
(もともと、境界について争いがあるような
事案であれば、難しいかもしれませんが)
また、隣人に説明される際に、
境界を確定させるため、
最終的には、下記の(3)の
とおり、法的な手続をとらざるを
得ない可能性があることをちらつかせて
もよいかもしれません。
ただ、これにより隣人との関係性が
悪化しないように、
伝え方には慎重になられた方が
よいでしょう。
(2)境界確認書なしの状態で分筆の登記申請を行う
境界確認書なしの状態で
分筆の登記申請を行った場合、
法務局から隣地の所有者であるBに
立会通知書を送り、境界確認の立会いを求めると
いう運用がなされています。
Bが立会に応じ、境界の確認がとれれば、
それで、登記の手続きは進むことになります。
ただ、Bがこれを拒否し、境界の確認がとれない場合には、
やはり立会を強制する手段はないため、
結局、登記はできない(申請の拒否、取り下げ)と
いうことになります。
なお、この取り扱いは、隣地所有者との間で、
境界に争いがないという前提ですので、
申請時に、境界に争うがあることがわかれば、
受け付けてももらえない
ということもあるかもしれません。
この辺りは、管轄法務局にご確認に
いただいた方がよいでしょう。
(3)境界を確定させる法的手続
上記(1)(2)ではどうにもならない、
という場合には、法的な手続に従って、
境界を確定させるしか方法はありません。
境界が法的に確定してしまえば、
これをもとに、登記の申請が可能です。
手続は、以下の2つがありますが、
いずれも時間と費用がかかるという点がネックです。
ア 筆界特定制度
これは、隣地同士の間で、境界に争いが
ある場合に、法務局が公的に境界を
確定させる手続です。
(ただ、相手がこれを不服として
裁判をすれば、結論がひっくり返る
可能性はあります)
法務局に申し立てをすると、法務局が、
こちらの話と相手の話を聞き、
また、必要な調査も行って、
公的な判断として、境界の位置を
決めてくれます。
(まれに、判断がつかないということだと、
境界を決めてくれない場合もありますが)
時間については、法務局での進行度合いに
より異なりますが、半年~1年以上はかかると
考えていただいた方がよいでしょう。
費用について、法務局に収める手数料は
1万円程度ですが、手続の中で測量を
行うことが一般的で、土地の大きさ等にも
よりますが、だいたい50万円~100万円
程度かかると言われています。
土地家屋調査士の先生も、この手続の
代理人になることができますので、
すでに関与されているC先生に
ご相談されてもよいかと思います。
なお、筆界特定制度では、相手方から
事情を聴くなど、協力が必要になりますので、
協力を得られる見込みがない事案だと、
法務局が事実上、申請を受理してくれず、
以下の境界確定訴訟を行うよう
促される場合もあります。
イ 境界確定訴訟
こちらは、隣人を相手方として、
裁判所に境界の確定を求める裁判です。
筆界特定制度よりもさらに時間がかかります。
1年以上かかることが多いです。
また、費用についても、訴訟の中で
測量を行うことが多く、筆界特定と
遜色ないぐらいの費用がかかると思いますし、
弁護士に依頼する費用もかかるでしょう。
筆界特定制度が利用できない場合は、
訴訟を行わざるを得ないということになります。
よろしくお願い申し上げます。