事業譲渡に伴い譲受会社が商号(名称)続用する場合の
会社法22条の譲受会社の責任等は理解しているのですが
譲渡会社に於いて使用許諾することに関して
何らかの法的な責任等は発生しうるのでしょうか?
想定される問題点等ございましたら、
ご指摘いただければ幸いです。
宜しくお願い致します。
>事業譲渡に伴い譲受会社が商号(名称)続用する場合の
>会社法22条の譲受会社の責任等は理解しているのですが
>譲渡会社に於いて使用許諾することに関して
>何らかの法的な責任等は発生しうるのでしょうか?
>想定される問題点等ございましたら、
>ご指摘いただければ幸いです。
2 回答
事業譲渡に際し、譲受会社が
譲渡会社の商号を続用する場合、
いわゆる「名板貸しの責任」(会社法9条)を
負う可能性があるかと思います。
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(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)
第9条 自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
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今回のように、
>譲渡会社に於いて使用許諾する
ということであれば、
「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した」
に該当するものと考えられます。
譲渡した事業に関する取引の相手方が、
取引主体が、事業譲受会社ではなく、
事業譲渡会社であると「誤認」した(信じた)場合、
その取引により生じた債務について、
譲受会社と連帯して、譲渡会社も返済する
義務を負う可能性があります。
(もちろん、本来的には譲受会社の債務なので、
譲渡会社がかわりに弁済した場合は、
譲受会社への求償は可能です)
ただ、取引の相手方が、「誤認」したことについて、
「重過失」がある場合には、名板貸しの責任は負わない
と考えられています。
ですので、できうる対策としては、
譲渡事業の既存の取引先に対しては、
事業主体が変更したことにつき、
明確に通知をしておくことで、
それでも事業譲受会社が事業主体であると
「誤認」したことは「重過失あり」となるでしょうから、
このような方法により既存の取引先との
関係ではリスクヘッジは可能でしょう。
なお、商号続用のケース特有のリスクではないですが、
事業譲渡を行う場合には、
同一の市町村の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内において
事業譲渡の日から20年間は、同一の事業を行うことができないという
競業避止義務を負うことになります(会社法21条1項)。
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(譲渡会社の競業の禁止)
第21条 事業を譲渡した会社(・・・)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(・・・)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
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これを避けたいということであれば、
事業譲渡の契約書に、競業避止義務を負わない、
と条項を入れて、リスクヘッジしておく必要があります。
よろしくお願い申し上げます。