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社長借入金の債権放棄の方法について

(前提)
1 同族会社A社、株式の保有状況は社長が100%保有(簿価300万円)している。

2 A社は債務超過状態(△2800万円)であり、前期の業績は税引前利益△300万円
となっている。今後も業績は、ほぼ変わらない予定。

なお、A社は土地等の含み益のある資産は、一切ありません。

3 A社は、社長より借入金2800万円がある。

4 上記のような状況であり、将来の社長の相続発生に際して社長からの借入金が
問題となると考えています。

4 法人税法上の繰越欠損金が25百万円あるため、社長借入金の債権放棄を今期中
に行いたいと思っています。

(質問)
1 債権放棄については、一般論として社長から債権放棄の通知書を作成して、公
証人役場で確定日付をとった方がいいと解説されていますが、法的にはどの様に
すべきでしょうか?

2 また、仮に上記の債権放棄の通知書を作成すべきであるとすれば、どのような
文言を入れておけばよろしいでしょうか?

3 同族会社A社側では、債権放棄を受けるに際して、何か法的な手続きが必要と
なりますでしょうか?

お手数かけますが、よろしくお願いいたします。

●●先生

ご質問ありがとうございます。
弁護士法人ピクト法律事務所の永吉です。

1 ご質問①

>1債権放棄については、一般論として社長から債権放棄の通知書を作成して、公
>証人役場で確定日付をとった方がいいと解説されていますが、法的にはどの様に
>すべきでしょうか?

債権放棄の証拠としては、ご指摘の一般論という方法でも
良いかと思います。

ただ、債権放棄の通知書を作成し、社長からA社への
内容証明郵便を送るという方法で、
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/

債権放棄の意思表示の内容の証拠及び確定日付も
得ることができますので、そちらの方法が一般的
かと思いますし、郵便局で手続きが可能なので、
楽かと思います。

2 ご質問②

>2 また、仮に上記の債権放棄の通知書を作成すべきであるとすれば、どのような
>文言を入れておけばよろしいでしょうか?

債権放棄の場合
どの債権かを特定し、放棄する旨が表示されていれば問題
ありません。

例えば、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社長(債権者名)が会社(債務者名)に対して、◯年◯月◯日に
貸し付けた◯◯◯万円の貸金債権を放棄します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という程度で良いかと思います。

貸付が複数回にわたっている場合には、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社長(債権者名)が(債務者名)に対して、
貸し付けた以下の貸金債権を放棄します。

・◯年◯月◯日◯◯◯万円
・◯年◯月◯日◯◯◯万円
・以下省略
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

のような形でも良いでしょう。

3 ご質問③

>3 同族会社A社側では、債権放棄を受けるに際して、何か法的な手続きが必要と
>なりますでしょうか?

A社側では特別な手続きは必要ありません。

なお、全く問題ないと思いますが、
債権放棄は、意思表示の「到達」が効力の発生に
必要ですので、

内容証明郵便を受け取る(ポストには入れてくれません。)

ことぐらいかと思います。

よろしくお願い申し上げます。