連続した2筆の土地(300㎡)のうち、北側250㎡を売却しました。
地番 xxx-1(北側) 200㎡ 簿価 60,000,000円
地番 xxx-2(南側) 100㎡ 簿価 15,000,000円
売却後の登記情報を参照すると、2筆の土地を合筆していることを確認しました。
地番 xxx-1(全体) 300㎡ に合筆(xxx-2は閉鎖)
さらに、同日付で売却対象を分筆しています。
地番 xxx-3(北側売却対象)250㎡に分筆
地番 xxx-1(南側残地)50㎡
【質問】
この取引において、北側と南側で取得単価が異なるために
売却原価の計算方法が2パターン考えられます。
パターン1【全体を按分する方法】
(60,000,000円+15,000,000円) × 250㎡ / 300㎡
= 62,500,000円
パターン2【北側の全部と南側の半分を売却したとする方法】
60,000,000円+15,000,000 × 50㎡ / 100㎡
= 67,500,000円
合筆・分筆を行わなかった場合はパターン2にしかならないので悩まないのですが
今回のように売却の便宜のために合筆・分筆を行うことによって、
パターン1とすべきとの指摘に備える必要が生じました。
納税者の意向としては、当然にパターン2を主張したいのですが、
法律上の観点から分筆・合筆と売却原価の関連について
考え方をご教示頂ければ幸いです。
>法律上の観点から分筆・合筆と売却原価の関連について
>考え方をご教示頂ければ幸いです。
売却原価という概念自体が、
民事法の概念ではないため、
法律上の観点からの考え方と直接的な関連が
あるかというと遠いですが、
>今回のように売却の便宜のために合筆・分筆を行うことによって、
>パターン1とすべきとの指摘に備える必要が生じました。
ということですと、下記をご参考に
なさってください。
2 回答
まず、いただいた情報から、
登記簿は、
①2筆→②1筆に合筆→③売却対象を分筆→④売却
という流れになっており、すべて②③④は、
同日付となっているという前提で回答します。
(1)登記から見る形式的な考え方
形式的に登記から判断すると
2筆の土地を合筆(②)
している以上、その土地の評価は
一体となり、その一部を
売却している(③、④)と考え
られるため、
どちらかというと、
パターン1【全体を按分する方法】
に一応は整合的かとは思われます。
(2)実態に基づく反論
しかし、上記の考え方はあまりにも
形式的に過ぎると反論できると思います。
つまり、
>合筆・分筆を行わなかった場合はパターン2にしかならないので悩まない
という先生のご指摘の通り、
合筆・分筆の登記は売却の便宜のために
形式上なされたに過ぎず、
実質的には、①2筆であったころの
>地番 xxx-1(北側) 200㎡ 簿価 60,000,000円
+
>地番 xxx-2(南側) 100㎡ 簿価 15,000,000円
のうち、北200㎡+南50㎡
を売却したにすぎないことを主張
することになるでしょう。
また、売却原価に関しては、
今回のケースでは、1筆全体を按分するよりも、
あくまでも取得した実際の金額は、パターン2
による計算がより実態に近いと反論する
ことになるでしょう。
法律上の観点からは、
古い判例になりますが、
最高裁昭和30年6月24日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/460/057460_hanrei.pdf
により、土地1筆のうちの一部を売却することを
認めるものがあり、
形式上の登記の先後は、実態関係に影響を
及ぼすものではなく、
当事者(売主と買主)の契約の意思解釈としては
あくまでも、
>地番 xxx-1(北側) 200㎡ 簿価 60,000,000円
+
>地番 xxx-2(南側) 100㎡ 簿価 15,000,000円
のうち、北200㎡+南50㎡
を売却する趣旨であることも、1つの反論材料と
して利用できるかと思います。
よろしくお願い申し上げます。