被相続人 A
相続人 配偶者B・母親C
配偶者B・母親Cは認知症ですが成年後見人が付いていない状況です。
被相続人Aに子はなく、認知症の母Cがご存命の状況です。
また、兄弟姉妹が3名おり、全員ご存命です。
(兄弟姉妹のうち1名が母Cと同居しています。)
配偶者Bの親族は既に他界している状況で、唯一の身内が被相続人Aという状況です。
【ご相談】
1.
相続人全員が認知症である場合、配偶者B・母親Cそれぞれの
成年後見人を選任する必要があるのでしょうか。
後見開始の申立てはAの兄弟姉妹が行うことになるのでしょうか。
2.
Aは現在入院中で相続開始はしておりませんが余命幾ばくも無い状況です。
急病で緊急入院し、その後容態が急変した状況なので、本人の預金はもちろん
配偶者Bの預金を引き出すこともできず、Aの入院費やBの介護費用の支払いができません。
この場合、兄弟姉妹が立て替える方法以外に、何らかAやBの預金を引き出して
費用に充てる方法は無いのでしょうか。
(銀行の暗証番号や印鑑は、不明な状況です。)
3.
Aを被保険者、 配偶者Bを受取人とする生命保険契約があり、指定代理請求人に
Aの兄弟姉妹が指定されています。
Aの相続開始後、兄弟姉妹が保険請求した場合、認知症である配偶者Bの口座に
保険金が振り込まれることになると思いますが、兄弟姉妹が代理で受領することは可能でしょうか。
(入院費や介護費用の立て替えをした場合、なるべく早く保険金で精算したいと考えています。)
以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
>相続人全員が認知症である場合、配偶者B・母親Cそれぞれの
>成年後見人を選任する必要があるのでしょうか。
成年後見人がいないという
ことですと、
配偶者Bと母親Cで、遺産分割協議
をするといずれかに「意思能力がない」として、
遺産分割は、無効とされる可能性があります
(認知症=無効ではありません)し、
その後の日常にも影響がでるでしょうから、本来的には
成年後見人をつけた方が良いケースかと思います。
ただ、そもそもB・Cの遺産分割協議をする必要
がない、または、したとしても無効を主張をする
者がいないケースですと、
そのまま行ってしまうということも現実としては、
ままあるのかとは思います。
何れにしても、認知症である以上、専門家がその方と
直接契約をして、何か行う(その契約自体無効となるリスクや
倫理的なリスク)ということは難しいですし、
下記の預金の引き出しなどの問題もあるので、
成年後見人を選任した方が何かと良いかとは思います。
>後見開始の申立てはAの兄弟姉妹が行うことになるのでしょうか。
申立てをするという場合には、
Aができないということを前提にすると
4親等内の親族が申立て可能ですので、
◯配偶者B
◯母親C
ともにご指摘のとおりになるかと思います。
2 ご質問2~AまたはBの預金を引出す方法~
>(銀行の暗証番号や印鑑は、不明な状況です。)
ということですと、
Bの判断能力次第ですが、
Bがご自身で暗証番号の変更手続きなどが
できるのであれば自ら下ろすということは可能です。
その他、AまたはBの預金を引出すことについて、
銀行の承諾を得るしかないかと思いますが、
今の状況で、法定後見人なしでは、これも
難しいです。(ですので、事前の認知症対策が重要という
元も子もない話になってしまうのですが・・・)
3 ご質問3~兄弟姉妹が代理で受領することは可能でしょうか~
指定代理請求制度は、
保険会社や契約の種類により異なり
ますので、いただいた情報だけでは
なんとも申し上げられませんが、
通常、こちらも上記と同様、
保険会社との交渉で、保険会社が
認めてくれればということになるかと思います。
保険会社によって異なると思いますが、
指定代理人からの請求の場合の受取口座まで
契約によって指定されていることは
少ないと思いますので、保険会社の運用により、
受取人の口座でないといけないのか、
代理人の口座でもいいのか、
を決めていると思われます。
代理人の口座で受け取れる
可能性もあると思いますので、
契約している保険会社に問合せを行い、
確認してみてください。
(事前に確認されておく方がよいでしょう)
なお、全体として、
兄弟姉妹が立て替える場合には、
その証拠をきっちり残すようにしてください。
後々、後見人などに請求していくことに
なるかと思いますが、
その支払いの存在と贈与ではないこと
がわかるようにしておくべきです。
よろしくお願い申し上げます。