精神障害者で施設に入所しています。
相続開始時の年齢は29歳です。
質問1
遺産分割協議書の自署押印はこの弁護士が自署して弁護士の実印を押印することになるということで
合っていますでしょうか?
質問2
相続人は配偶者の妻1/2、長男1/6、次男1/6、
長女の代襲相続人兄1/12、長女の代襲相続人弟1/12(精神障害者)
遺言書はありますが、内容を変更したいため遺産分割協議ですすめることとしています。。
精神障害者の兄も代襲相続人1/12(8.3%)です。
遺産分割の内容について弁護士と話はしていませんが、遺産分割協議はすんなり押印するのでしょうか?
新たに成年後見人を選任するわけではないため、家庭裁判所に選任と財産目録は提出する必要は
ないものでしょうか?
下記でも法定相続分を原則確保するとありますが、現時点でお金を私はしますが、遺言書に記載して
いる金額でお願いをしていています。
生前に長女は自宅を建築する際にお金をもらっていて、健常者の長女の代襲相続人兄も認識しており
その金額で了承は得ています。
取得割合は2%程度であり、法定相続分8.3%は満たしておりません。
https://support-sozoku.com/souzoku_guide/majority-guardian/
遺産分割協議の内容として「必ず被後見人(認知症の本人)の法定相続分(民法に定められたその人の取り分)」
を確保するものになっていなければならないというのが実務上の扱いです。
質問3
下記のようにいったん、弁護士さんが成年後見人になると通常は、ずっと後見人のままでいる
ことになることが多いのでしょうか?
https://ninchishou-navi.com/isan
一旦、成年後見人等が選任されると、特別な事情がない限り、
認知症の人が亡くなるまで成年後見人等がついた状態が継続します。
>遺産分割協議書の自署押印はこの弁護士が自署して弁護士の実印を押印することになるとい
>うことで
>合っていますでしょうか?
はい。自署をするかは別として、
この弁護士が、遺産分割の合意を成年後見人の代理人
としてすることになりますので、押印などはそのように
なります。
2 ご質問2~成年後見人が遺産分割をするかについて~
>遺産分割の内容について弁護士と話はしていませんが、遺産分割協議はすんなり押印するの
>でしょうか?
今回は、以下の理由ですんなり
押印してくれるというようなケースでは
ありません。
(1)そもそも遺言があることについて
確かに、そもそも遺言がある以上、
取得できる金額は、固定されているので、
ご指摘の「必ず法定相続分」という
わけではないと思います。
しかし、遺言の内容として「相続分の
指定」ではなく、
例えば、既に遺言で、個々の財産の
帰属が確定(相続させる旨の遺言や特定遺贈など)
しているケースでは、
そもそも遺産分割をする意味が法的にはないため、
あえて、遺言と異なる遺産分割合意をするという
ことはしない可能性が非常に高いです。
(するとしても、この場合法定相続分
の請求をしてくる可能性もあります。)
民事上は、他の相続人間で、遺言で取得が確定
している財産について、贈与ないし交換をする
ことで、財産を動かすことが自由にできるので、
長女の代襲相続人弟の後見人としては、
下記のようにあえて、裁判所にお伺いを立ててまで、
合意をする意味がないからです。
ただ、税務上は、遺言と異なる全員参加の遺産分割
でないと、所得税や贈与税の問題がでてきてしまうので、
このあたりの説明をして、お願いするということになるか
と思います。
ここは、法的には後見人の判断になりますが、
このような遺言のケースですと、それでも実務上の見通し
としては厳しいとお考えになられた方が良いかと思います。
(2)遺留分について
今回の遺言ですと、
>取得割合は2%程度であり、法定相続分8.3%は満たしておりません。
ということですので、
形式上は、代襲相続人弟の遺留分は、
法定相続分×1/2で、4.15%となります。
>生前に長女は自宅を建築する際にお金をもらっていて
ということですが、代襲相続の場合、
代襲された者(長女)へ贈与(特別受益)となるもの
が、代襲者(長女の代襲相続人弟)の「特別受益」
となるのかというと、特別受益となるというのが
実務上は支配的です。
今回は、自宅建築費用ですので、
その自宅に代襲相続人弟が居住しているなどで
あれば、特別受益に含まれると判断される
可能性が高いです。
実際に法定後見人が遺留分を請求してくるかというと
その後見人の熱心さや増加する金額によるかと思います
(裁判費用なども考慮してもするべきかどうか)。
ただ、逆にこの遺留分の点から、
遺言では遺留分を侵害してしまうので、
それを含めて、遺産分割をし直したい
と伝えることで、
遺産分割協議に弁護士を参加させ、
その際に合わせて、遺言の分配内容を
変更するということに利用するという
ことも一案かと思います。
その場合には、最低でも遺留分(4.15%)
相当額の支払いを覚悟する必要があります。
>新たに成年後見人を選任するわけではないため、家庭裁判所に選任と財産目録は提出する必
>要はないものでしょうか?
これは、必要ありません。
ただし、実際に遺産分割が可能な場合(後見人が押印など
する場合)、実務上は、現状の成年後見人が、裁判所に
お伺いを立てるので、そのための資料として、
財産目録や遺産分割協議書案を後見人に渡すことに
はなります(何れにしても代理人なので、渡すことに
なると思うのであまり変わりませんが。)。
3 質問3~成年後見人の継続について~
>下記のようにいったん、弁護士さんが成年後見人になると通常は、ずっと後見人のままでい
>ることになることが多いのでしょうか?
そうですね。弁護士自体が
高齢などで辞任するケースを除けば、
被後見人の判断能力が回復したということ
が裁判所で認められ「後見開始の審判の取消し」
がなされるケースや後見人に業務懈怠が
ある(解任)というようなケース
でない限り、そのままになります。
実務上は、ずっと後見人のままというようなケースが
多いと思います。
よろしくお願い申し上げます。