相続 遺言 相続税 税理士法 税理士賠償責任

受任を受けていない相続人に対する申告書の扱い

相続税申告委任業務に関してお教えいただきたく存じます。
(前提)
被相続人 
相続人 前妻の子A 後妻B 後妻の子C
公正証書遺言あり 執行人C 執行代理弁護士D
所得税・相続税委任者 相続人B及びC

現状、弁護士D先生から相続人Aへ公正証書遺言の写し、財産目録を郵送等でしております。
わたくしが受任しております「所得税の準確定申告」については、相続人B,Cの連名申告し、
相続人Aには、税理士欄ブランクの申告書を、弁護士D先生から送付頂いております。

弁護士D先生は、相続人Aへの上記やり取りはすべて郵便で行っており、
相続人Aとの直接のやりとりは現在まで一切皆無となっております。

相続税の申告に関して、私は、相続人B.Cから委任を受けて準備を進めておりますが、
弁護士D先生より、相続人Aにもわたくしが作成した相続税申告書を
税理士欄ブランクで郵送したい旨お話を頂いております。

所得税については、準確定申告の取り扱いで所得税法施行令263条3項にて別々に提出した場
合には、相互に通知する旨規定されているのでそのようにしたのですが、
相続税法には同上に該当する規定がないと理解しております。

・相続人Aに税理士欄ブランク押印もしない状態(受任していない)ですが、
相続税申告書を渡すリスクはございますでしょうか。

・弁護士D先生の意に反して受任をしていない状態でお渡しできないと伝えて問題ないでしょうか。

・もし相続人Aに渡った相続税申告書を相続人Aが税務署へ提出した場合、委任も受けていない状態
で作成した税理士に対する内容の疑義が生じた場合の課税庁側及び相続人Aに対する責任はございま
すでしょうか。

 宜しくお願い致します。

>・相続人Aに税理士欄ブランク押印もしない状態(受任していない)ですが、
>相続税申告書を
渡すリスクはございますでしょうか。

先生のリスクとしては、
依頼者BCへの守秘義務違反かと思います。

この点は、先生から直接弁護士Dに渡すのであれば、
B・Cに書面などで同意をもらってから行った方が
良いでしょう。

1番良いのは、先生からは依頼者B・Cに渡して
あとは、依頼者B・Cの判断に任せるという形
かと思います。

>弁護士D先生の意に反して受任をしていない状態でお渡しできないと伝えて問題ないでしょう
>か。

そうですね。現状では、問題はないかと存じます。

ただし、依頼者のB,Cからの要求があれば、
B、Cに対してお渡しし、あとはB、Cの
ご判断でということが良いでしょう。

>もし相続人Aに渡った相続税申告書を相続人Aが税務署へ提出した場合、委任も受けていない
>状態で作成した税理士に対する内容の疑義が生じた場合の課税庁側及び相続人Aに対する責任
>はございますでしょうか。

理論上は、契約がない場合でも、
不法行為に基づく損害賠償請求に発展する可能性
があります。

ただし、実務上は、
「B、C」に対して、Aからの依頼は受けて
いないため、Aがこの申告書を提出したとしても、
Aに対して責任を負えない旨伝えておけば、
まず問題ないでしょう。

よろしくお願い申し上げます。