民法

契約書に定めがない場合のM&A仲介契約の解約

標題の件、教えてください。
M&Aにより自社株の売却を考えている個人が、
仲介会社との契約を解除したいと考えています。

契約期間は1年で、違反や過失により将来に向かって解除できる旨の規定はありますが、
合意解除に関する文言はありません。

このような契約の場合、途中解約するのは難しいのでしょうか。

宜しくお願い致します。

1 ご質問

>このような契約の場合、途中解約するのは難しいのでしょうか。

2 回答

(1)合意解除について

>合意解除に関する文言はありません。

とのことですが、
合意解除は、解約することを、
当事者間で新たに合意する
ことを意味します。

したがって、相手さえこれに応じれば、
もともとの契約書に、合意解除の
定めがなくとも可能です。

将来に向かって解約(解除)することにつき、
合意した旨の書面を作成しておけば大丈夫です。

(2)一方的な解約について

>契約期間は1年で、違反や過失により将来に向かって解除できる旨の規定はありますが、

とのことなので、違反行為がなければ、
この条項に基づいて、解除することはできません。

ただ、ご質問にあるM&Aの仲介契約は、
一般的には、民法の類型上、
委任契約(類似)の性質を
有するものと考えられます。

委任契約は、いつでも解約することが
できるとされており(民法651条1項)、
契約上、これが禁止されていないのであれば、
この条項に基づき、一方的に
解約ができる可能性があります。

ただ、相手方に不利な時期に
解約すると、損害賠償が生じることに
なりますので(民法651条2項1号)、
この点は留意が必要です。

実務的には、相手に解約したい旨を伝え、
できるだけ合意解約にもっていくように交渉する、
それでも応じなければ一方的な途中解約の
通知という流れになるかと思います。

よろしくお願い申し上げます。