知的財産法

リスティング広告の著作権について

(前提)
グーグルのリスティング広告についてコンサルティングを受けました。
広告文についてコンサルティング後は使用できない契約とのことです。

(質問)
質問1
広告文について著作権?のような権利主張ができるのでしょうか

質問2
広告文は文字数が少ないためどうしても似たような文章になってしまいます。
どの程度、似ていると相手方の主張が通ってしまうのでしょうか。

よろしくお願いいたします。

1 ご質問①
(1)ご質問及び回答の結論

>広告文について著作権?のような権利主張ができるのでしょうか

広告文についても、作成者の
個性(創作性)が発揮されていれば
「著作物」に該当し、著作権を
主張できる余地はあります。

実際を見てみなくてはわかりませんが、
リスティングの広告表現はご指摘の
通り、少ない文字数での表現になるため
一般的には著作権は認められない
ケースも多いかと思います。

(2)回答の理由

リスティング広告の広告文について
著作権を主張できるかどうかは、

広告文が「著作物」であるか否かによって
変わってきます。

「著作物」の定義が
~~~~~~~~~~~~~~~~~
著作権法
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~

と定められていることから、
広告文の表現に「創作性」がある場合には
「著作物」に該当することになります。

法律上、「創作性」とは、

・ありふれた表現ではないこと
あるいは
・独自性があること(個性)

とされます。

裁判例では、
五・七・五調で作成された
交通標語について、著作物性が肯定された
事例があります(東京地裁平成13年5月30日判決)。

なので、短い文章だからといって、
著作物と認められないわけではありません。

今回のリスティング広告の広告文について、
具体的な内容がわからないため判断はできませんが、

他のリスティング広告にないような
独自性のある表現や内容が含まれていれば、
著作物と認められる余地はあります。

そして、著作物と認められれば、
著作権を主張することが可能になります。

ただし、ご指摘の通り、
一般的には認められないケースも多いかと思います。

2 ご質問②
(1)ご質問

>広告文は文字数が少ないためどうしても似たような文章になってしまいます。
>どの程度、似ていると相手方の主張が通ってしまうのでしょうか。

(2)回答

著作物の類似性の判断は、基本的には、
①具体的な表現が既存の著作物と共通しているかどうか
②その部分(共通している部分)に創作性が認められるかどうか

という2点から検討されます。

両著作物のうち、表現がどの程度共通していれば
「類似している」といえるかについては、
その著作物の種類、性質等によっても異なってきます。

こちらも一般論にはなってしまいますが、

文章の著作物の場合には、
選択された言葉遣い、文章構成、
フォントや色使いなどの共通している表現箇所が
多ければ多いほど「類似している」との
判断になりやすいです。

また、上記②の観点から、
共通している部分が、創作性(独自性)の
あるものであればあるほど、
「類似」と判断されやすいです。
(これは真似しないと出ない表現だよね、
ということです。)

よろしくお願い申し上げます。

ご返信ありがとうございます。

具体的な広告文をメールしますのでよろしくお願いいたします
(業者を特定できないよう少し変更しますが・・・)

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このまま使うつもりはありませんが、この文章に独自性があるとは思えません。
もし仮に、相手業者から広告停止を求められた場合、どのような反論をすれば
良いのでしょうか

1 ご質問

>このまま使うつもりはありませんが、この文章に独自性があるとは思えません。
>もし仮に、相手業者から広告停止を求められた場合、どのような反論をすれば
>良いのでしょうか

2 回答

この程度の表現であれば、
創作性はなく、「著作物」とは
認められないと考えられます。

また、仮に著作物となるとしても、
同一文言を使用しない限り、
「類似性」が認められない程度に、
その保護範囲は狭いでしょう。

したがって、
・著作権なし
・類似なしで、著作権侵害はない
という反論ができるでしょう。

ただし、著作権とは別に、
コンサルティング契約書で、
広告文の使用に関して何らかの義務が
定められている可能性もありますので、
ご留意ください。

なお、個別具体的な契約のご相談の
場合には、おそらく背景事情なども
考慮の上の判断が必要になるとは
思われますので、無料相談を
ご利用いただく方がベターがと存じます。

よろしくお願い申し上げます。