【前提】
養親はともに死亡。
特別養子には実子、兄弟姉妹がおりません。
【質問】
特別養子が死亡した場合、実親の相続権はありますでしょうか?
回答の根拠となる法令等を教えてください。
【私見】
特別養子縁組をすると、実親と特別養子に出した子供との親子関係が終了します。
法律上は他人同然となりますので、互いに相続人になることはありません。
もちろん代襲相続などの問題も起きません。
特別養子が死亡した場合、実親には相続権はない、と考えます。
したがって、相続財産は最終的に国庫に帰属する、と考えます(民法959条)。
上記理解でよろしいでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
>特別養子が死亡した場合、実親の相続権はありますでしょうか?
>回答の根拠となる法令等を教えてください。
2 回答
(1)実親の相続権の有無
結論としては、先生ご指摘のとおり、
特別養子縁組を行った場合、
養子の相続財産に関する実親の相続権は
失われます。
法令の根拠としては、民法817条の9本文です。
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(実方との親族関係の終了)
第817条の9
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。
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特別養子縁組により、養子と実親との
親子関係が終了しますので、お互いに「他人」になり、
お互いに相続権は発生しません。
(2)相続人が不存在の場合の流れ
相続人が不存在の場合には、
相続財産はいったん
相続財産法人に帰属することになります(民法951条)。
相続人のいない場合に、
相続財産が無主物(所有者がいない物)と
なることを避けるために、
相続財産そのものを法人と擬制するのです。
その後、「利害関係人」の申立てにより、
裁判所が相続財産管理人を選任し(民法952条)、
本当に相続人がいないかどうかを確認します。
また、債権者や特別縁故者がいないかどうかも
確認した上、これらの者がいれば、
相続財産管理人が、相続財産から
これらの者に支払います。
その上で、余った相続財産は、
先生ご指摘のとおり、
>したがって、相続財産は最終的に国庫に帰属する、と考えます(民法959条)。
ということになります。
よろしくお願い申し上げます。