申告書は税理士法人が作成し、署名は依頼した税理士が行い税務署に
提出するというものです。
このサービスについて以下2点の質問があります
1、いわゆる名義貸しに該当しないのか。
2、依頼人から損害賠償を請求された場合、署名した税理士の責任になるのか
以上よろしくお願いいたします
特定のサービスを想定
したものではなく、
先生からのご質問でいただいた情報を
前提とした回答とさせてください。
1 ご質問①~名義貸しにあたるか~
>いわゆる名義貸しに該当しないのか。
名義貸しは、非税理士に対して、名義を利用
させることを禁止するものですので、
名義貸しには該当しないでしょう。
税理士法の詳細は、私が書いた下記の記事を
ご覧ください。
https://zeirishi-law.com/zeirishihou/meigigashi/1
ただし、現実的には問題にはならないかとも
思いますが(私は、懲戒事例などは見たことがありませんし、
例えば、開業税理士間で業務委託で申告書の作成してもらって
署名押印は、委託した税理士の先生がしているという
事例は現実的にままあるのかなとは思いますので。)、
税理士法に
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(署名押印の義務)
税理士法第33条 ・・・省略・・・。
2 税理士又は税理士法人が税務書類の作成をしたときは、当該税務書類の作成に係る税理士は、当該書類に署名押印しなければならない。
3 ・・・省略・・・
4 ・・・省略・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という規定があります。
この規定の趣旨は、責任の所在を
明らかにするという点にあることから
申告書の作成者である税理士法人自身
が署名・押印することが求められて
いると解釈される可能性が高いです。
ですので、あくまでもサービス提供をしている
税理士法人側の問題ですが、税理士法には反する
という解釈になる可能性が高いと考え
られます。(実務的に問題になるかは別問題です。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
税理士会綱紀規則(各税理士会に一般的に入っています)
第○条(業務委嘱契約)・・・省略・・・
2 会員は、委嘱者から直接業務委嘱を受けなければならない。
3 ・・・省略・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こちらは各税理士会に一般的に存在する会則
になりますが、こちらにも反する可能性が
高く、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(会則を守る義務)
税理士法第39条 税理士は、所属税理士会及び日本税理士会連合会の
会則を守らなければならない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ということで厳密には税理士法違反にはなる
かと思います。
現実論としては上述の通りです。
2 ご質問②~税賠などの責任について~
>依頼人から損害賠償を請求された場合、署名した税理士の責任になるのか
そうですね。あくまでも依頼人との関係では、
申告書の作成について、責任を負うのは、
直接契約をしている署名した税理士の先生になります。
なお、署名した税理士の先生が、
申告書を作成した税理士法人に対して、
依頼人に支払った損害賠償金額相当額を
損害賠償請求ができるかという点については、
署名した税理士の先生と申告書を作成した税理士
法人さまとの契約関係次第かと思われます。
3 「完全に」適法に行う方法
完全に真白な形でご利用になる方法としては、
①申告書作成者に直接受任してもらい、紹介料をもらう。
②共同受任の形をとる
③復代理(依頼する先生からさらに代理人とする)を活用する
ということになります。
何れにしても、依頼者さまに「内緒で」
ということになると上記①~③の方法は法的には難しいです。
<参考 復代理について>
(特別の委任を要する事項)
税理士法第31条 税理士は、税務代理をする場合において、
次の行為をするときは、特別の委任を受けなければならない。
一 不服申立ての取下げ
二 代理人の選任
よろしくお願い申し上げます。