決算書作成までを顧問先が行い、申告書作成のみ税理士が行うケースを見かけますが、
申告書作成のみを契約とした場合、仮に顧問先が粉飾決算や脱税を行っていたとしたら、
税理士の責任はどのようになりますか。
仮に、契約書で「税理士は申告書作成のみに業務を限定する」と入れれば、粉飾決算をの場合の利害関係者への責任、
脱税を行っていた場合の税理士に対する懲戒処分等は、ある程度防げるのでしょうか。
お手数ですがご回答を宜しくお願い致します。
>仮に、契約書で「税理士は申告書作成のみに業務を限定する」と入れれば、粉飾決算をの場
>合の利害関係者への責任、脱税を行っていた場合の税理士に対する懲戒処分等は、ある程度
>防げるのでしょうか。
「ある程度」という意味ですと、
一般論としては、予防の効果自体は
あるものと考えられます。
どの程度かという点については、下記を
ご覧ください。
2 回答の理由
税理士の先生が
>粉飾決算をの場合の利害関係者への責任、脱税を行っていた場合の税理士に対する懲戒処分等
を受ける要件には、税理士の先生に
「過失」(税理士として相当な注意を怠ったこと)が必要となります。
そして、「相当な注意」をどこまでの事項まで
行う必要があるかは、税理士と依頼者の関係性なども
含めた事実認定と評価の問題になります。
ですので、契約書で、業務範囲を限定すれば
業務範囲が限定されたものであることの証拠
にはなりますので、一般論としては、
注意義務の対象事項も狭くなるということに
はなります。
ただし、業務範囲が申告書の作成に
限定されていたとしても、
具体的な状況から税理士として明らかに誤りなどに気づくべき事項
(これは個別に判断されるものになってしまいますが、例えば、
不動産賃貸業であるにもかかわらず、権利金などの計上がない
ことが認識できる状況で何も確認していない等))については、
事実を調査・確認する義務があるということにはなりえます。
ただし、実務上の感覚からすると、
依頼者から直接損害賠償請求されたケースに比べて
>粉飾決算をの場合の利害関係者への責任、脱税を行っていた場合の税理士に対する懲戒処分等
のケースでは、関与が薄ければ、
上記の付随義務違反は問われにくい
かと思います。
現実的に問題になる
のは、積極的に関与していた
またはそれが疑われるケースが
実例としては多いかと思います。
よろしくお願い申し上げます。