内容としては、ある会社の記帳代行をしている方から、そのある会社の確定申告書(法人税・消費税)を作成して欲しい。ということです。
今まで申告書の作成をお願いしていた税理士が体調不良の為、依頼したい。との事でした。
報酬の支払いは、その在宅ワークサイトを通じて支払われることとなります。
税理士法上、このような形で仕事を受けることは可能でしょうか。
この話を聞いたときに、税理士法違反になるのではないかとも思ったのですが・・・
仮に可能な場合には、その際の注意点を教えてください。
立場としては、「開業税理士」「所属税理士の直接受託」それぞれの場合で教えて頂きますと幸いです。
また、もし仕事を受ける場合には、今回は在宅ワークサイトを通じての契約をするつもりですが、来期以降も引き続き依頼を受ける場合に、在宅ワークサイトを通さず直接依頼を受ける。ということになった場合の注意点についても併せて教えていただきますと助かります。
以上につきまして、よろしくお願いいたします。
>ある会社の記帳代行をしている方から、
>そのある会社の確定申告書(法人税・消費税)を作成して欲しい。
>ということです。
>税理士法上、このような形で仕事を受けることは可能でしょうか。
>この話を聞いたときに、税理違法違反になるのではないかとも思ったのですが・・・
2 回答
(1)記帳代行をしている方との関係
ご質問いただいた内容ですと、
>ある会社の記帳代行をしている方
からの依頼ということですので、
その前提ですと、受任してしまうと
ある会社の記帳代行会社の実質下請けとして
税理士業務を行うということになって
しまいますので、
典型的な名義貸し(税理士法第37条の2)
となってしまいます。
もし、在宅ワークサイトを通じて契約する
としても、あくまでも、
契約関係は、「ある会社」から直接依頼を受ける形
がまず必要です(もちろん、在宅ワークサイト
への金銭の支払いも「ある会社」が行うこと)。
また、名義貸しについては、記帳代行会社の方
ですと、かなり疑われやすいという点もあるので、
形式的な契約者が誰かという点のみでなく、
税務申告の内容等の説明などは、直接「ある会社」
の方にするなど、実質も直接受任であるといえる
形にしておく必要があります。
(2)在宅ワークサイトとの関係
また、これはサイトにより設計が異なるのですが、
在宅ワークサイトが、ただのマッチングサイト
(紹介料や手数料を取るのみ)で、
◯税理士の先生と「ある会社」の間に契約
する設計になっているかについても、そのサイトの利用規約を
ご確認ください。サイトの中には、そのサイト運営者
が直接の契約者となり、税理士の先生が下請けとなる
という設計のものもありますので、その場合、
「在宅ワークサイト」への名義貸しとなってしまいます。
在宅ワークサイトが税理士報酬を「売上計上」するのか、
それとも、「預かり金」として、手数料のみ
取る形となっているのかという点です。
(3)受任できる場合の注意点
>「開業税理士」「所属税理士の直接受託」それぞれの場合で教えて頂きます
>と幸いです。
ア 開業税理士の受任
「開業税理士」の場合は、上記の通り名義貸しと認定
されないようにする必要があります。
イ 所属税理士の直接受任
「所属税理士の直接受託」の場合には、
それとは別に、
税理士法施行規則第1条の2第2項により、
①使用税理士の承諾を書面で得ること
② ①の書面の写しとともに、下記事項を記載した書面を依頼者(ある会社)に
交付し、説明しなければなりません。なお、この書面には、所属税理士の
署名押印が必要で、さらに、説明を受けた旨も記載し、
依頼者(ある会社)からも署名押印を得なければなりません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・所属税理士である旨
・その勤務する税理士事務所の名称及び所在地又はその所属する税理士法人の名称及び勤務する事務所(当該事務所が従たる事務所である場合には、主たる事務所及び当該従たる事務所)の所在地
・ その使用者である税理士又は税理士法人の承諾を得ている旨
・ 自らの責任において委嘱を受けて前項に規定する業務に従事する旨
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(4)来期以降の注意点
>もし仕事を受ける場合には、今回は在宅ワークサイトを通じての契約をするつもりですが
>、来期以降も引き続き依頼を受ける場合に、在宅ワークサイトを通さず直接依頼を受ける。
>ということになった場合の注意点
こちらも、「在宅ワークサイト」の利用規約などを
ご確認いただきたいですが、
在宅ワークサイトを介さずに行う直接受任を禁止し、
違反した場合には違約金を払う
というような定めがあるものもあります。
なければ、よいという判断もあるかと思いますが、
規定自体は確認の上、直接受任するかしないかの
ご意思決定をしていただいた方がよいかと思います。
よろしくお願い申し上げます。