民法

地位譲渡契約は包括承継か

以下のような流れで地位の譲渡契約を結びますが、この地位の譲渡契約は包括承継と考えてよろしいのでしょうか?

1 不動産賃貸業を営む法人Aが、新規に収益不動産を建築したいと考えている
2 建築は新しく設立する法人Bで行うが、それに先立って工事業者と既存の法人Aで請負契約を締結する
3 締結時に手付金をAが支払う
4 法人Bが設立された段階で、法人Aは法人Bにこの請負契約の注文者としての地位を譲渡する契約を締結し、注文者としての地位を法人Bに移転する

以下のようなサイトがありますので確認させてください。

http://www.peaks-hd.jp/realtors/service/service_2.html

よろしくお願いいたします。

1 ご質問

>以下のような流れで地位の譲渡契約を結びますが、この地位の譲渡契約は包括承継と考えてよろ
>しいのでしょうか?

>1 不動産賃貸業を営む法人Aが、新規に収益不動産を建築したいと考えている
>2 建築は新しく設立する法人Bで行うが、それに先立って工事業者と既存の法人Aで請負契約
>を締結する
>3 締結時に手付金をAが支払う
>4 法人Bが設立された段階で、法人Aは法人Bにこの請負契約の注文者としての地位を譲渡
>する契約を締結し、注文者としての地位を法人Bに移転する

2 回答

>法人Aは法人Bにこの請負契約の注文者としての地位を譲渡する契約を締結

ということですので、ご質問の契約は、
請負契約上の地位全体を移転する契約(当事者間の合意)
ということだと思われます。

「契約上の地位の移転」というのは、
その契約に含まれる債権・債務の全体を
まるっとまとめて承継させる旨の合意です。

このような合意も可能であり、
賃貸借契約などでよく行われるところです。

ただし、
ご指摘の「包括承継」に当たるか?
というご質問が、

いわゆる

「包括承継」と「特定承継」の区別

ということでしたら、

これは、「特定承継」となります。

包括承継は、相続や合併・吸収分割などの
法律が特別に債権者等の同意なく
(債権者保護手続等は必要になるものも
ありますが。)
権利義務の承継を認めたものです。

なお、事業譲渡も合併等と異なり、「特定承継」
になります。

契約上の地位の移転には、
債務を引き受けるという側面もありますので、
当然、債権者である工事業者の同意が必要になります。

通常、三者間(法人A、法人B、工事業者)契約で行うことが多いですが、
法人Aと法人Bで契約上の地位の譲渡契約をした後、
工事業者がこれを承諾するという方式もあります。

包括承継と特別承継については、

私が書いている記事もありますので、
https://zeirishi-law.com/souzoku/ippan-kouka

ご参考になさってください。

よろしくお願い申し上げます。