設立後間もない非公開株式会社が、新株予約権(または非適格ストックオプション)として次のような契約を予定しています。
・役員と新株予約権契約をします
・交付する株式数は100株で、25株ずつ、4年間に渡って株を渡します
(外国のRSU(restricted stock unit:譲渡制限付株式)の方式です)
・この100株については、1株5万円で取得できるものとします
<質問事項>
この契約にあたって、
・仮に1年(25株交付後)でその役員が退職(解任を含む)した場合、残りの75株の権利は消滅する旨
・仮に1年で退職(解任を含む)した場合、その役員が取得した25株の株式を、1株5万円で会社が買い戻すことに合意する旨
を契約に盛り込むことは可能でしょうか。また法的に問題はないでしょうか。
・上記が問題ない場合、同様の契約を第三者(コーファウンダーを想定)と結ぶことは可能でしょうか。
宜しくお願いいたします。
>設立後間もない非公開株式会社が、新株予約権(または非適格ストックオプション)とし>て次のような契約を予定しています。
>・役員と新株予約権契約をします
>・交付する株式数は100株で、25株ずつ、4年間に渡って株を渡します
>(外国のRSU(restricted stock unit:譲渡制限付株式)の方式です)
>・この100株については、1株5万円で取得できるものとします
上記前提条件において、
「株式自体の発行」かと思われる記述もありますが、
以下では、
「新株予約権」の発行で、
その新株予約権の行使として「株式を付与」する
ことを前提として回答いたします。
もし、「株式自体の発行」ということであれば、
規制も異なってきますので、
追加でご質問頂ければと思います。
以下では、「新株予約権」の発行で、
その新株予約権の行使として「株式を付与」する
ことを前提として回答いたします。
1 ご質問①
(1)ご質問
>・仮に1年(25株交付後)でその役員が退職(解任を含む)した場合、残りの75株の権
>利は消滅する旨
(2)回答
結論としては、ご質問のご要望に応える
新株予約権を設計することは可能と考えます。
「消滅する」というのは、新株予約権の
内容に関わることなので、
当事者間の契約で定めるのみでは不十分と思われます。
このような内容にされたいのであれば、
「新株予約権の内容」として、
退職した場合には新株予約権を
行使できないこととしておけば、
会社法287条に基づき
新株予約権は消滅することとなります。
このようにしておけば、
ご要望は満たせるかと思います。
2 ご質問②
(1)ご質問
>・仮に1年で退職(解任を含む)した場合、その役員が取得した25株の株式を、1株5万
>円で会社が買い戻すことに合意する旨
>を契約に盛り込むことは可能でしょうか。また法的に問題はないでしょうか。
(2)回答
こちらも可能と考えます。
ア 契約として定める場合
ご質問にあるように、
当事者間の契約において、買取りの合意をしておくと
いうことは可能です。
ただし、実際の取得時に自己株式の取得の規制
(特に財源規制等)が
かかってくると思われますので、この点はご注意ください。
そのような場合に備えて、
法令上の規制により
発行会社が買い取ることができない場合には、
経営株主(一般的に最大株式数を有する取締役)
が個人的に買い取るという内容の契約書の
定め方はよくされます。
また、株式の内容ではなく、
合意により定める場合には、
実際に、契約に違反して
役員が株式を売り渡さないという場合に、
株式譲渡の効力を発生させるというのは
難しいのではないかと思います。
もちろん、契約を行っておけば、
売渡をしろという根拠にはなるため、
行っておくに越したことはありませんが、
実際に売り渡さなかった場合には、契約に
違反した責任として、損害賠償責任などが
発生するにとどまる可能性があります。
イ 新株予約権の行使の対価を種類株にする方法
契約の場合は、上記のように単なる契約違反
とされるリスクがあります。
これを防ぐ方法としては、
新株予約権発行時に
取得条項付種類株式を設ける定款変更を
して、
その取得条項付種類株式を
新株予約権の行使の対価とする
という方法があるとかと思います。
一定の事由(退職等)が生じれば、
会社が取得できるような種類の
株式を役員に発行するという形にします。
ただし、こちらの新株予約権と種類株の設計等は、
基本的に会社の状況や希望、登記との関係等
個別事情によってカスタマイズ性の高い
ものになりますので、
弊社でも構いませんし、
他のこの部分を専門としている
専門家でも良いと思いますが、
個別面談や設計のご依頼の上行った
方が良いかと思われます。
(先生がお得意な分野であれば
特に問題ないかと思います。)
資本関係は、一度行ってしまうと
あとで戻すことは不可能ないし
著しく困難になりますので。
3 ご質問③
(1)ご質問
>・上記が問題ない場合、同様の契約を第三者(コーファウンダーを想定)と結ぶことは可
>能でしょうか。
(2)回答
こちらは、新株予約権を発行する
役員とコーファウンダーの間で
契約をするという趣旨でお間違いないで
しょうか。
第三者との契約で、
役員がすでに取得した株式を
売り渡す義務を負う旨を
定めておくことは特に問題ありません。
基本的に、契約は当事者間の合意であり、
法令に違反するというようなことがなければ、
契約すること自体は問題ないからです。
ただ、
こちらも上記と同様、
実際に、契約に違反して
役員が株式を売り渡さないという場合に、
株式譲渡の効力を発生させるというのは
難しいのではないかと思います。
もちろん、契約を行っておけば、
売渡をしろという根拠にはなるため、
行っておくに越したことはありませんが、
実際に売り渡さなかった場合には、
契約に違反した責任として、
損害賠償責任などが発生するにとどまる可能性があります。
よろしくお願い申し上げます。