税理士法第45条第1項で税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき懲戒の処分を受けるとあります。
具体例として交際費が架空と知りながら申告を行ったことが挙げられていました。
質問
・架空と知りながら申告を行ったという事実認定はどのように行われるのか。
(どのような場合、故意と認定されるのか。)
・故意と認定されないようにするにはどのように対策するのか、ご教授頂ければ幸いです。
>(どのような場合、故意と認定されるのか。)
故意とは、
「事実に反し又は反するおそれがあると認識して行うこと」
(税理士法基本通達45-1)
と通達では定められています。
法律上も概念としては、
「故意」には、積極的に認識していた(わざと)のみ
ならず、
事実に反することが確定でなくても、
そのおそれがあることを認識しつつ、そうなる
かもしれないなという程度の認容があれば認められる
とされています(未必の故意)。
事実認定としては、
例えば、お客様とのやりとりで、
認識していることが明らかかどうか(メール等)、
真実に反する事実の性質(容易に発見できることである場合か等)
から判断されます。
いざ、事件化すればですが、
お客様の証言等も影響を及ぼします(もちろん、上記
のやりとりがわかる客観的証拠が重要視はされます。)
概念的には、「故意」(税理士法45条第1項)と「過失」(税理士法45条第2項)
は区別されますが、
実務的には、「故意」と「過失」とは、グラデーションというか、程度問題
になります。
実際には、未必の故意があるような事案であっても、
証拠上微妙であれば、「過失」の方で認定する
というような方法も取られるところです。
>故意と認定されないようにするにはどのように対策するのか、
>ご教授頂ければ幸いです。
「故意」と認定されない対策というと、
上記の通り、
実務上、「故意」と「過失」は明確に分断される
ものではないので、難しいですが、
依頼者様に対して説明を求め、依頼者さま
から架空ではない資料や説明を残した証拠があれば、
故意とまでは認定されない可能性が高くはなります。
ただし、事案の性質として、
お客様の説明が明らかにおかしい場合は、あくまでも
「法的」には「故意」や「過失」が認定される
リスクはあります。
そうなってくると、お客様の説明が
若干怪しいケース(家事費を交際費にしている
かもしれない等)であれば、
リスクを排除するため
法的にはすべて解約しなければならない?
ということになってしまうのですが、
現実論としては、すべてそのような対応をする
というのは難しいと思います。
現実的には、
税額へのインパクトが大きい事案か
や他の取引でも疑わしい取引が多いお客様かどうか
等の観点から解約の有無等を考えていく
ことになるかと思います。
よろしくお願い申し上げます。