【前提条件】
事務所として貸している物件の賃料不払い状態が、
1年以上経過してしまっているため、
早急に契約解除をしたいと考えております。
賃借人の携帯電話がまったく通じない状況のため、
会社謄本から判明した自宅住所に行ったところ、
廃屋状態で誰も住んでいない状態でした。
連帯保証人とも連絡が取れません。
※
通帳記帳をしていなかったため、
最近まで不払い状態に気づかず、督促等の行為は一切行っておりません。
(自主管理物件)
【質問】
こうようなケースでは、
弁護士さんに依頼をして、法的な流れに沿って解決するしか方法はないでしょうか?
何パターンかあれば、教えて頂けますでしょうか。
賃貸人の意思は、
物件の明渡し及び新規テナントの募集開始を行いたいことが優先であり、
過去の滞納金の回収は、放棄してもいいと考えております。
【補足】
賃貸借契約書の契約内容は、ごく一般的な内容になっており、
自力救済条項等は当然にありません。
宜しくお願い致します。
>こうようなケースでは、
>弁護士さんに依頼をして、法的な流れに沿って
>解決するしか方法はないでしょうか?
>何パターンかあれば、教えて頂けますでしょうか。
2 回答
(1)とりうる方法
賃貸借契約の解除自体は、
公示の意思表示等
参考:http://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/l3/Vcms3_00000347.html
を利用することで可能です。
(なお、解除さえすれば、あとの残置物は勝手に処分してしまっても
よいということではありません。)
滞納者を追い出して、
残置物等を廃棄し、
新たに貸し出しをするには、
①相手方との合意を得て行う方法
または
②法的な流れに則って、一方的に追い出す方法
の2つしかありません。
①を行えない以上は、
「適法」に進めるとすれば、
②で進めるしか方法はありません。
以下では、2つについて
それぞれご説明します。
(2)①相手方との合意を得て行う方法
この方法をとるには、
まず、賃借人の所在を突き止める必要があります。
現在、
>会社謄本から判明した自宅住所に行ったところ、
>廃屋状態で誰も住んでいない状態でした。
ということですが、
この代表者の住民票を追いかけることで、
現住所が判明する可能性があります。
住民票を追いかけるには、
職務上請求で、住民票を調査することが必要です。
ただ、職務上請求は、
「受任している事件又は事務」に関して、
行われるものでなければならないため、
このようなケースで
税理士さんが行うことは、
要件を満たさないと考えらます。
弁護士に建物明渡事件を依頼すれば、
「受任している事件」に関して、
住所調査を行うことが可能です。
(なお、最後の住所地は、裁判を進めるうえで、
調査の必要がありますので、
いずれにしても行うことになるかと存じます。)
ただ、代表者が住民票を次の住所に移していなければ、
追いかけることができませんので、
この方法では判明しないことも十分想定されます。
その場合には、以下の②を行うしか方法はありません。
(3)②法的な流れに則って、一方的に追い出す方法
相手方との合意がとれない以上、
残念ながら、【適法】に進めるとすれば、
法的な流れに則って進めるしか方法はありません。
●建物明渡しの裁判
↓
●勝訴判決を得た後、建物明渡しの強制執行の申立て
の順番で進めることになります。
なお、通常、相手の住所に訴状を送り、
相手が受け取らないと裁判が始まりませんが、
「公示送達」という一定の手続をとれば、
裁判を行うことができるため、
この点は心配ありません。
裁判所の進行にもよるところですが、
全部の手続が終わるまでに、
だいたい4~6か月程度かかることが多いです。
費用については、
執行にかかる実費のみでも、30~50万円程度は
かかりますし、弁護士に依頼するのであれば、
別途弁護士費用がかかります。
業者さんの中には、このような手続を経ず、
解除通知等を送って、
それでも相手の応答がなければ、
残置物を勝手に引き揚げてしまう
(残置物は一定期間どこかに保管し、
その後、何も言われなければ処分する)
という方もいるとは聞きます。
相手が何も言ってこない状態であれば、
問題が顕在化することもなく、
そのまま流れて行ってしまっている
というのが現状かもしれません。
ただ、基本的に、明渡しがなされるまで、
建物に勝手に立ち入ることはできませんし、
残置物を勝手に処分することは、
相手の財産を勝手に処分する行為ですので、
違法行為となります。
したがって、このような行為は、
基本的に法律上は許されないため、
積極的にアドバイスをすることはできません。
よろしくお願い申し上げます。
【前提条件】
司法書士さんにお願いをして、
住民票を取得することができましたので、
賃貸人がその住所に出向いて、
直接、本人に会いにく予定なのですが、
後日の証拠として、
簡単な内容の覚書に押印して頂こうかと考えております。
【質問】
「相手方との合意を得て行う方法」の場合の
覚書の作成上、何か注意することはありますでしょうか?
※
滞納者を追い出して、残置物等を廃棄し、
新たに貸し出しをすることを優先にしたいことが前提です。
滞納家賃については、回収可能性が低いため、
滞納家賃の回収方法については触れず、
覚書の文面はシンプルに、滞納者を追い出して、
残置物等を廃棄することのみの内容でいいかと考えております。
宜しくお願い致します。
>「相手方との合意を得て行う方法」の場合の
>覚書の作成上、何か注意することはありますでしょうか?
2 回答
この段階で合意書を作成する場合、
まずは対象物件の鍵の返却を受けた上で、
以下の内容を盛り込んだ合意書を作成しておいてください。
①鍵●本を返却し、これをもって【対象物件】の明渡しを完了したことを確認する
②本合意書締結時点で【対象物件】の中に残置してある動産については所有権を放棄し、こちらで処分しても異議を述べない
(③処分にかかる費用は先方が負担する←必要があれば)
特に重要なのは、
②の残置物の範囲を特定しておくことです。
「本合意書締結時点で」「【対象物件」の中に残置してある」動産
という形で特定しておいてください。
また、【対象物件】は、
建物の
・所在地
・家屋番号
などで特定するようにしてください。
よろしくお願い申し上げます。