教えて下さい。
合併比率は合併契約書で定めますが、実際に合併の効力発生日まで
スパンがあるため、予期しえない後発事象で急遽合併比率を見直さないと、
被合併法人の株主が損をする場合もあると思います。
このような場合、すでに合併契約で合意をしているため見直しは不可と
されるのでしょうか。
仮に、見直しがOKであればですが、この場合には合併交付金を追加で
支払う、といった流れになるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
>スパンがあるため、予期しえない後発事象で急遽合併比率を見直さないと、
>被合併法人の株主が損をする場合もあると思います。
>このような場合、すでに合併契約で合意をしているため見直しは不可と
>されるのでしょうか。
(1)合併契約自体における手当
実務上は、効力発生日前までの間で、
不可抗力による重大な後発事象が生じた場合には、
契約の変更(または解除)をすることができる
という趣旨の規定を入れるのことが一般的かと思います。
この規定により、合併比率自体を変更する
場合には、別途合併契約を結び直(書面上は
「変更」でも良いですが。)します。
そして、会社法上は、
改めて株主総会決議や
事前備置き書面の備置きなどの手続きを
やり直す必要があります。
(2)両者の合意による変更
仮に上記規定がない場合でも、
消滅会社と存続会社間の合意により、
合併比率を変更することも可能です。
この場合にも、
改めて株主総会決議や
事前備置き書面の備置きなどの手続きを
やり直す必要があるのは上記と同様です。
(3)相手との合意が得られない場合の対応
一方、上記規定もなく、相手との
再度の合意も難しい場合、
一方的な意思により、合併契約を
無効とする方法を模索することになります。
効力発生日前であれば錯誤無効や債務不履行解除などの主張をします。
(この場合、効力発生前に仮処分の申し立て
をすることになるでしょう。)
効力発生後の場合、合併契約の無効を主張することは、
合併無効の訴え(会社法828条1項7号・8号)によって
のみ可能とされているので、
効力発生から6か月以内に、
訴えを提起することになります。
合併無効の訴えにおいて、
合併比率の不公正が無効原因となるかというと、
結論としては難しい場合が多いとは思いますが、
その場合は、損害賠償請求をして、金銭的損害の回復を
図るということになります。
ですので、いずれにしても、
合併比率の見直しの場合、
>この場合には合併交付金を追加で
>支払う、といった流れになるのでしょうか。
という流れになるわけではありません
(もちろん、両当事者の合意にて、
この方法を選択することは可能です。)。
よろしくお願い申し上げます。