前提:
A社の従業員で関連会社のB社に週1、2回程度(の不定期)勤務している従業員がい
ます。
東京都の認可がいる業種で無予告の調査(監査)があるようです。
監査の際に自社以外の従業員が勤務していると問題があるために、
顧問先から監査が来ても問題ないようにしたいと言われております。
質問:
2社給与ではなく、A社から給与を支払い、B社からA社に負担金を支払う
出向契約にしたいのですが、このような不定期での部分的な出向の契約ですが
一般的な出向契約書で問題ないでしょうか。
作成時に気をつけることがあれば教えてください。
宜しくお願い致します。
>2社給与ではなく、A社から給与を支払い、B社からA社に負担金を支払う
>出向契約にしたいのですが、このような不定期での部分的な出向の契約ですが
>一般的な出向契約書で問題ないでしょうか。
>作成時に気をつけることがあれば教えてください。
2 回答
基本的には、通常の出向契約と同じでよいでしょう。
ただ、以下の点にお気をつけいただければと存じます。
〇通常の出向契約では、出向期間中は労働者は出向先にいるため、
出向元においては休職扱いとするのが
一般的かと思います(ひな形には入っているかも)が、
今回は、出向元(A社)でも労務提供を行うため、
休職扱いにはしないようにしてください。
〇通常の出向だと、給与を出向先(B社)が
支払うということもありますが、
今回は、A社(出向元)から支払い、
一定の金額(通常は業務日数から給与額の
1〜2/5程度になるかと思います。)
をB社がA社に支払うという条項を入れてください。
なお、当然ですが、B社に関連する業法に照らして、
出向契約を行っていれば問題ないのかどうかは、
別途検討を要しますので、ご注意ください。
(実際のところは、監査で注意を受けたら改善すれば
よいというレベルの問題ではあるような気がしますが。)
また、蛇足ですが、出向は、無許可の派遣
(労働者供給事業。職業安定法44条)との
関係でその適法性が問題となることもあります。
厚労省は、
この区別は、「業として行われる」かどうかにより
判断すべきとしており、
①労働者を離職させるのではなく、関係会社において雇用機会を確保する
②経営指導、技術指導の実施
③職業能力開発の一環として行う
④企業グループ内の人事交流の一環として行う
などの目的で行われている場合には、
「業として」にあたる可能性は低いとの見解です。
今回の場合、A社とB社は関連会社ということなので、
上記①~④のいずれかの目的なのかな、と思います。
そうすると、
A社が、B社(または他の会社)に
多数の従業員を出向させており、
出向させることによる対価を得ることが
目的であるというような事情がなければ、
大丈夫かと思われます。
よろしくお願い申し上げます。