相続 遺言 贈与 不動産

法定相続人以外への遺贈について

法定相続人以外への遺贈について質問させてください。

【状況】
・今回の相談は下記のB(私の顧問先)からされている

・兄Aと妹Bで、Aの自宅を共有している(A:B=3:1)
・父の生前の意向で、Aの単独所有で自宅をあせって売却しないようにと、
 歯止めになるようにAとBの共有で相続した

・Bは今、がんの治療中で、余命が5年程度と言われている

・Aの顧問税理士(私とは面識なし)が、
 将来のBの相続に備えて、Bの持ち分をAに移すように強く説得している

・Aの法定相続人はAの妻、Aの子ども二人(計3名)
・Bの法定相続人はBの夫、Bの子ども一人(計2名)

【質問】
私は、父の意向を考えたら、
Bの持ち分を遺言でAの子に遺贈するのが良いかと考えています。

この場合、次の点が気になっています。
Bの相続税を申告する場合、Aの子も申告書に印鑑を押さないといけない
(相続税の申告書をみられてしまう)

そこで、質問です。
1)Bの持ち分を遺言でAの子に遺贈する以外に、
  B → Aの子にうつす方法はありますでしょうか?

2)Aの顧問税理士の言うように、Bの生前に
  B → Aとうつすことに、法的視点から大きなメリットはございますでしょうか?

よろしくお願いします。

1 ご質問1〜遺贈以外でAの子に持分を移す方法~

>1)Bの持ち分を遺言でAの子に遺贈する以外に、
>B → Aの子にうつす方法はありますでしょうか?

この場合、B → Aの子に対して、
①贈与する(無償譲渡)
②売買する(有償譲渡)

するという方法以外には難しい
かと思います。

法務的には、持分が移転する点については、
特定遺贈でも、
①、②いずれの場合でも、異なりません。

ご指摘の
>Bの相続税を申告する場合、Aの子も申告書に印鑑を押さないといけない
>(相続税の申告書をみられてしまう)

というデメリットと、税務上の損得を考慮して決めるということに
なるかと思います。

なお、
Bがどのようなご意向かや
A側とB側の関係性にも
よりますが、
持分が欲しいというのは、A側ですので、

一定の金額をA側からもらって、移転させる
②売買というのがこのようなケースでは、
最もフェアな方法かとは思います。

2 ご質問2〜Bの生前にB → Aとうつすことのメリット~

>2)Aの顧問税理士の言うように、Bの生前に
> B → Aとうつすことに、法的視点から大きなメリットはございますでしょうか?

Aの顧問税理士さんの立場からすれば、
持分をBさんから取得しておかなければ、
自宅の持分がBの相続人にさらに分散
されてしまうという点を考慮しているのだと
思います。

共有になっている現状では、
父の想定の通り、自宅の処分や重大な変更などが
できません。

Bに相続が発生すれば、
持分がBの相続人にさらに分散され、
Aは、Bの相続人の同意がなければ
自宅の処分などができないことに
なる事態を避けたいということでしょう。

Bの立場からすると、「法的に」というわけではないですが、

②売買の形をとる場合などの金額の話など、
兄弟のABで話し合った方がスムーズに進む可能性があるという
ことくらいです。

ただ、相続発生後にBの相続人としては、
Aともめるのが嫌だなどの事情もあるでしょうし、
生前にBが権利関係をはっきりさせて、
のちの相続人間の紛争を防ぐという視点は考慮されても
良いかと思います。

なお、ご質問の趣旨が
「Aの子」ではなく
「A」に持分を移すこと
のメリットという意味でしたら、
Bの立場からすれば、
法務的には特に大きな違いはありません。

あとは、A側の内部の
問題になります。

よろしくお願い申し上げます。