その他

日本法人から外国法人への貸付に係る貸金業登録について

日本の法人が外国法人へ貸付を行う場合、貸金業法の登録が必要かご教示頂けますで
しょうか。

【前提】
・アジア新興国で事業を行っている外国法人があり、運転資金が必要になった。

・外国法人の代表者(非居住者)は、自身が代表取締役を務める法人が日本にもあ
り、当該日本法人の資金を外国法人に回すことを考えた。

・外国法人は日本法人から出資を受けることが業法上できず、社債発行もできない。
また非居住者個人からの貸付も業法上難しく、法人からの貸付である必要がある。
よって日本法人から貸付を受けることを考えている。

・日本法人は資金が3千万円ほどあるだけで、現在事業は行っていない。
日本法人の純資産は5千万円未満のため、貸金業の登録は難しい。
日本法人と外国法人の間に資本関係はない。

【ご質問】
①日本法人は貸金業の登録を行う必要がありますでしょうか?
借手は外国法人で、また代表者が同一であり、日本法人は他に貸付や事業を行ってい
ない場合でも登録は必要でしょうか。

②もしその場合、貸金業法の規制を適用されることなく日本法人の資金を外国法人へ
拠出する別の方法について、もしご存知であればアドバイス頂くことはできますで
しょうか。

宜しくお願い申し上げます。

1 ご質問および回答の結論

(1)ご質問①

>①日本法人は貸金業の登録を行う必要がありますでしょうか?
>借手は外国法人で、また代表者が同一であり、日本法人は他に貸付や事業を行ってい
>ない場合でも登録は必要でしょうか。

借手が外国法人である、または代表者が同一であるという点のみで、
貸金業法の適用がなくなるという明確な根拠があるわけではありません。

ただ、代表者が同一であり、その会社間での貸付であるということで、
「業として」行うものではなく、
貸金業法の適用を受ける可能性は相当低いと考えられます。

なお、貸金業法の適用を受けないために、あまりに
高額な利息は控えるべきでしょう(税務上、寄附金とされない程度の
利息等であれば問題ないでしょう。)。

(2)ご質問②

>②もしその場合、貸金業法の規制を適用されることなく日本法人の資金を外国法人へ
>拠出する別の方法について、もしご存知であればアドバイス頂くことはできますで
>しょうか。

貸金業法の適用を受ける可能性を低くしたうえで、
貸付を行うという方策が良いかと存じます。

2 回答の理由(ご質問①)

貸付を、「業として行う」場合に、
貸金業として規制の対象となります(貸金業法2条1項)。
この「業として行う」というのは、
「反復継続し、社会通念上、事業の遂行とみることができる程度のもの」
をいうと解釈されています。

「業として」にあたるかどうかは、
行為の主体や行為の目的等により判断されることになりますが、
この点に関する明確な判断基準があるわけではありません。

ただ、実務的には、ご質問のケースのように、
代表者が同一の法人間において、
資金の融通のための貸付を行う場合に、
「業として行う」ものとして、
「貸金業」にあたるとするのは相当な違和感があります。

この点に関して、貸金業法違反を問われることは
現実的にあまり考えられないかと存じます。

貸し付ける相手が外国法人であることや、
法人の代表者が同一であることから、
明確に貸金業法の適用を受けないという規定があるわけではありませんが、
ご質問のご事情からすると、
「業として行う」とはいえず、
貸金業にはあたらない可能性が相当高いと存じます。

なお、高額な利息を受け取ると、
事業の遂行とみなされる可能性が高まりますので、
高額な利息は控えるべきでしょう(税務上、寄附金とされない程度の
利息等であれば問題ないでしょう。)。

よろしくお願い申し上げます。