【前提】
遺産分割について調停中のため、未分割で期限内申告
自宅部分について小規模宅地等の特例要件を満たすため、『3年以内の分割見込書』を添付
その後、自宅部分土地建物について一部調停成立
調停条項は、
当事者双方は、土地建物を持ち分各2分の1の割合で共有取得する
当事者双方は、土地建物を相互に協力して売却するものとし、その売却代金から仲介手数料等の売却に要する費用を控除した残代金を各2分の1の割合で取得する
調停が成立した日 5月1日
売却残金決済日 7月31日
【質問】
上記の場合、『分割の日』は、やはり5月1日でしょうか。
調停による換価分割として7月31日を分割の日と考えるのは無理でしょうか。
>調停による換価分割として7月31日を分割の日と考えるのは無理でしょうか。
1 回答の結論
(1)純粋な法律的な結論(裁判や不服審判での見込み)
これまでの不服審判や裁判の結論からすると
更正の請求の起算日は、今回の事例ですと
「調停が成立した日」である5月1日と
されてしまう可能性が極めて高いかと思います。
(2)実務上の主張について
ただ、不服審判や裁判などで、認め
られることは難しいと思いますが、
税務署に対する主張として、
>当事者双方は、土地建物を持ち分各2分の1の割合で共有取得する
>当事者双方は、土地建物を相互に協力して売却するものとし、その売却代金から仲介手数
>料等の売却に要する費用を控除した残代金を各2分の1の割合で取得する
この調停は、土地建物を売却することを
停止条件として成立したものであり、
実際に売却残金決済がされるまでは、
不確定な効果であることを主張して、
売却残金決済日 7月31日
を基準として更正の請求を認めるよう
働きかける(あるいは宥恕を求める)
ことはする価値があると思います。
2 回答の理由
(1)純粋な法律的な結論(裁判や不服審判での見込み)
今回の更正の請求期間の起算日の基準として
ご質問いただいている「分割した日」というのは、
租税特別措置法69条の4第5項で準用する
相続税法32条1項の更正の請求の特則でいう
ところの
「事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内」
の「事由が生じたことを知った日」
がいつかという問題かと思います
(相続税法基本通達69の4−26参照)。
これに関しては、
「調停が成立した日があたる」とされています。
そして、厳密に法律的に言うと、
調停が成立した日に
>当事者双方は、土地建物を持ち分各2分の1の割合で共有取得する
とするとたとえ法定相続分と同じ割合であったとしても、
その日に分割され
遺産としての共有から通常の共有に分割された
との考え方が基本となるため、
裁判や不服審判という場では、
「事由が生じたことを知った日」を
◯売却残金決済日 7月31日
という考えが認められるかというと
難しいかと思います。
(私の個人的な意見とは別として)
(2)実務上の主張について
ただ、不服審判や裁判などで、認め
られることは難しいと思いますが
税務署に対する主張として、
>当事者双方は、土地建物を持ち分各2分の1の割合で共有取得する
>当事者双方は、土地建物を相互に協力して売却するものとし、その売却代金から仲介手数
>料等の売却に要する費用を控除した残代金を各2分の1の割合で取得する
この調停は、土地建物を売却することを
停止条件として成立したものであり、
実際に売却残金決済がされるまでは、
不確定な効果であることを主張して、
売却残金決済日 7月31日
を基準として更正の請求を認めるよう
働きかける(あるいは宥恕を求める)
ことはする価値があると思います。
個人的には、
>当事者双方は、土地建物を持ち分各2分の1の割合で共有取得する
というのは、確認的に定めたものであり、
分割の効果は、
◯売却残金決済日 7月31日
として、更正の請求を認めるという判断の方が
権利救済という観点からも望ましいと思います。
よろしくお願い申し上げます。