民法 その他

FC契約終了後2年間の競業禁止規定は有効か

清掃サービス会社のフランチャイズ契約書に以下の規定があります。
44条(競業の制限)
2 加盟店は、本契約終了後2年間、下記の行為を行ってはなりません。
(2)本件事業と同種の事業を自ら営み、または第三者に営ませること

質問
顧問先が契約終了後、仕事が出来なくて困っています。公序良俗に違反し、無効ではないでしょうか。
よろしくお願いします。

1 ご質問および回答の結論

>顧問先が契約終了後、仕事が出来なくて困っています。公序良俗に違反し、無効ではないでしょうか。

競業避止義務の有効・無効は、
フランチャイズ契約に至った経緯を含めて、
具体的な事情の中で判断されるものです。
(公序良俗違反という考えがそもそも、
その事例に限定してどうか?というもの
ですので当たり前ですが。)

フランチャイズ契約では
競業避止義務条項が入っているのが通常で、ご質問のケースだと、
必ずしも無効と言い切れる事案ではないと思われます。

条項の有効性については、究極的には
裁判にならなければ明確にはなりませんが、

少なくとも、
無効であると言い切れる事案ではないと思われます。
このあたりのリスクを認識した上で、

同種の事業を行うか否かご決断された方が
良いかと思います。

2 回答の理由

(1)会社間の取引契約における競業避止義務規定の有効性

一般論として、会社間の取引契約における競業避止義務を定める条項が、
営業の自由を不当に制限するなどとして、
公序良俗(民法90条)に反して無効とされることがあります。

公序良俗に反するかどうかは、
①競業避止義務により守るべき会社の利益がどのようなものか(営業秘密の保護、顧客の確保など:制約の必要性)
②相手の利益が制限される程度がどの程度か(禁止される範囲、期間、地域的な限定など)
その他さまざまな事情を総合考慮して判断されます。

(2)①について

会社間の取引の中でも、フランチャイズ契約については、
契約終了後の競業避止義務が定められるのが通常です。

一般的に、フランチャイズ契約では
フランチャイズシステムの顧客や商圏を守ることや、
フランチャイズを行っていた間に提供されたノウハウ等の保護という目的があり、
他の契約類型に比べ、競業業避止義務を定める
目的の正当性が認められやすいです。

ですので、上記①で挙げた競業避止義務により守るべき
会社の利益が大きい場合があります。

もちろん、目的がどのようなものであったか、
守るべき利益がどのようなものか、どの程度かは、
具体的な事案(フランチャイズ契約によるノウハウ提供の中身が
どのようなものだったかや新しく行う事業の利用ノウハウなども含む)
に即して判断はされますが、
フランチャイズ契約だと、一般的に守るべき利益の程度が
大きいケースが多いと思われます。

(3)②について

②の範囲が大きければ大きいほど、無効となる可能性は高まります。

ご質問のケースでは、
禁止の範囲については、「本件事業と同種の事業」と限定されており
禁止期間についても、「契約終了後2年間」と長いわけではありません。
なお、禁止期間については、2年程度は割と一般的です。

地域的な限定がかかっていない点で、
禁止範囲が広くなっていますが、
これのみをもって、必ずしも無効ということにはなりません。
(フランチャイザーの会社の営業範囲がどこまでか、
という点も関連すると思われます。)

(4)まとめ

競業避止義務が無効かどうかは、
上記のような考慮要素(事案によりその他の要素も
考慮されることになります。)を総合して
判断されることになり、
究極的には、裁判にならなければ、
その有効性については明確にはなりません。

少なくとも、契約条項として定めてあり、
ご質問のケースは、無効であると言い切れる事案ではない
と思われますので、
このあたりのリスクを認識した上で、
同種の事業を行うか否かご決断された方が
良いかと思います。

よろしくお願い申し上げます。