(代表取締役と株主は別人です)
①この法人の株主総会ですが、株主は未成年者のため、保護者が出席という
形を取ったほうがいいのでしょうか。
②総会議事録の書き方としてはどのように書いたらよろしいのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
(1)ご質問①
>役員が代表取締役1名、株主が1名(未成年者)の法人
において、
>①この法人の株主総会ですが、株主は未成年者のため、保護者が出席という
>形を取ったほうがいいのでしょうか。
実務上は、問題化するケースは
あまり想定できませんが、
・未成年者(株主)と親権者が合わせて出席
または
・親権者が出席して議決権行使
という形を取ることが、良いかと存じます。
(2)ご質問②
>②総会議事録の書き方としてはどのように書いたらよろしいのでしょうか。
上記の場合に対応して、議事録の末尾にでも、
下記の記載を入れていただければと思います。
ア 未成年者(株主)と親権者が合わせて出席の場合
「なお、株主である〇〇が未成年者であるため、
法定代理人である〇〇も同席し、未成年者と同一の
意思であることを表示した。」
イ 親権者が出席して議決権行使
「なお、株主である〇〇が未成年者であるため、
法定代理人である〇〇が、出席し、代理人として
議決権行使をした。」
2 回答の理由
(1)未成年者の議決権行使の代理の可否について
この問題に関しては、
議決権の行使が、純粋な法律行為(売買契約をするなど)
とは言えないため、それを法定代理人である親権者が代理することが
できるのか?という点について議論はあります。
ただし、株式も未成年者の財産であるため、
民法824条の「財産管理」の一内容として、
議決権行使が、法定代理人にも認められる
というのが、現状一般的な見解となっています。
ですので、議決権の行使については、
上記の2つのパターンで、行う
ことが可能です。
(2)未成年者のみの議決権行使について
それでは、未成年者のみが出席し議決権を行使する方法に
リスクがあるかというと、若干のリスクが
残ります(ただし、実務上問題が顕在化するのか
というと「?」な問題ですが。)。
未成年者の法律行為の場合、親権者の同意または
親権者が代理して行った場合を除いて、
法律行為の取消権を未成年者側が持つことになり
ます。
ただし、今回の事例では、純粋な法律行為
ではなく、株式の議決権の行使ですので、
取消権の行使の対象となるものではない
という考え方になるものだと思われます。
そういう意味でいうと、未成年者のみの出席
で、議決権行使をするという方法も、実務上は
あまり問題ないと思われます。
ただし、例えば、未成年者が
まだ幼児であり、意思決定など
できそうにないという場合、
株主総会は、過半数などが「賛成した」
場合に決議があったものと評価されますが、
本当に決議要件である「賛成した」と
評価できるかというと年齢的に
不可能であるというようなことも
ありえるかと思います。
そうすると、あくまでも事実認定の
問題として、「賛成した」とは言えない
ということになるおそれがありますので、
一応、上記の2つのいずれかの方法に
よることをお勧めします。
なお、実務上は、未成年者が
議決権を行使したとしても、
誰が文句をいうのか?という点は
もちろん、あります。
幼児などであれば、
一人で株主総会に出席
することは、まずできない
と思いますので、
親権者などが
代理行使したという認定ができる
ケースが多いでしょうし。
ただし、そのあたりも結局は、
上の2つのパターンと同じになる
事実認定ですで、
そこは、議事録上も明確になるように
定めた方がより良いかと思いまして、
上記2つの方法をご提案させていただきました。
よろしくお願い申し上げます。