民法 倒産法 その他

個人の自己破産による免責債権

法人2つ所有している社長が個人の自己破産をしたいと相談がありました。
最終的には弁護士がすることですが一般的な知識のみ教えてください。

現在、2つの法人代表者です。
その法人には国税債権(法人税・消費税)、地方税債権(法人県市民税、法人事業税)と
社会保険料と日本政策金融公庫の借入金、銀行借入金、リース契約の残債があります。

個人名義でのクレジットカードの利用分の残債、個人資産(既に売却済みで現在はありません)の固定資産税
と個人住民税があります。

などがあります。

お金がないですが、

質問1
法人の破産と個人の自己破産の相対的関係と順番はどのようにするのが一般的でしょうか。

質問2
ネットで調べた限り、法人は破産手続き終了と同時に消滅するため滞納税金の債権もあわせて消滅すると
あるためすべての税金も含めて借入金、リース債権もなくなると理解していますが合っていますでしょうか。

質問3
ネットで調べた限り、個人の自己破産は税金は非免責債権に該当するため、クレジットカードの残債は消えるけど
固定資産税と個人住民税は残り、支払いをしないといけないものと理解していますが合っていますでしょうか。

質問4
相談者から聞いたことですが、自己破産する前に住民票を動かして自己破産する行為は何かメリットが
あるものなのでしょうか?もしあれば教えてください、なければ無視してください。

1 ご質問①~法人破産と代表者個人破産の関係~
>質問1
>法人の破産と個人の自己破産の相対的関係と順番はどのようにするのが一般的でしょうか。

法人が破産する際に、代表者個人も破産することが
非常に多いですが、これは、法人の借入れについて、
代表者個人が保証していることがほどんどだからです。
法人が返済できなくなったら代表者も返済できない、
ということで、両方破産を申し立てるケースが多いです。

法人と代表者の破産の順番については、両方同時に破産申立てするのが一般的です。

2 ご質問②~法人破産の税金~
>質問2
>ネットで調べた限り、法人は破産手続き終了と同時に消滅するため滞納税金の債権もあわせて消滅すると
>あるためすべての税金も含めて借入金、リース債権もなくなると理解していますが合っていますでしょうか。

はい、そのとおりです。
税金は非免責債権(破産しても返済を免れられない債権)
ですが、破産により法人も消滅するため、法人に支払義務は
ありません。
借入金やリース債権は、免責債権なので、当然に消滅します。

3 ご質問③~個人破産の税金~
>質問3
>ネットで調べた限り、個人の自己破産は税金は非免責債権に該当するため、クレジットカードの残債は消えるけど
>固定資産税と個人住民税は残り、支払いをしないといけないものと理解していますが合っていますでしょうか。

これもご理解のとおりです。
クレジットカードの残債(借入金)は免責債権なので、
破産により支払を免れますが、
税金は非免責債権なので、
破産したとしても支払は免れられません。

4 ご質問④~自己破産前に住民票を動かすメリット~
>質問4
>相談者から聞いたことですが、自己破産する前に住民票を動かして自己破産する行為は何かメリットが
>あるものなのでしょうか?もしあれば教えてください、なければ無視してください。

破産の申立てをして免責許可決定(破産を認めるという裁判所の決定)
が出るまでの間は、引っ越しをするのに、
裁判所の許可が必要になります(破産法37条1項)。

ですので、もし、引っ越しをしたいという希望があるのであれば、
破産前にしておいた方が手続がめんどくさくないという点に
メリットがあるのかと思います。
(ただ、引っ込しにより破産手続に何らかの支障がある場合を除き、
許可されるのが一般的かと思います。)

よろしくお願い申し上げます。