会社設立をされたお客様(以下Aとする。)が、仕事上のパートナーで筆頭株主
の従業員(以下Bとする。)の土地建物を事務所用に借りて事業を行うことが決
まっています。
Aは取締役で会社株式持分割合44%
Bは従業員で経営には参画していません。会社株式持分割合44.5%
代表取締役は事情があって別の方になっています。
【質問】
Bと会社で結ぶ土地建物賃貸借契約ですが、土地と建物を一緒にした賃貸借
契約書は見たことが無いのですが、土地と建物は別々に契約書を作成するほう
が好ましいのでしょうか。
また、賃貸借契約で注意をしないといけない点がございましたらご教示いただ
けたらと思います。
よろしくお願いいたします。
> Bと会社で結ぶ土地建物賃貸借契約ですが、土地と建物を一緒にした賃貸借
>契約書は見たことが無いのですが、土地と建物は別々に契約書を作成するほう
>が好ましいのでしょうか。
まず、建物と土地の両方について賃貸借契約をするのはあまり一般的ではありません。建物についてのみ賃貸借をしておけば、建物の使用に付随する土地の使用(単純な通行など)は、その範囲内で行うことができるため、建物の賃貸借のみで足り、土地の賃貸借をする必要がないケースが多いからです。
建物使用に付随した土地の使用の範囲を超える場合(土地上に別途倉庫を建築する予定があるなど)には、建物とは別に土地についても賃貸借を行うこともあり得ます。今回のケースでは、ご事情はわかりませんが、建物とは別に土地も必要という事情があれば、土地についても賃貸借をしておくことになるかと思われます。
仮に、土地と建物両方について賃貸借をする場合、土地・建物の契約書で入れる条項が異なってくるので、基本的には別々で作成する方が一般的です。
ただ、1通の契約書で作成されたいということであれば、①土地の賃貸借のみに適用される条項、②建物の賃貸借にのみ適用される条項、③両者に共通して適用される条項を分けて規定することで、形式上、1通の契約書にすることは可能です。その際の定め方については、下記の記載例をご参照ください。
なお、どうしても1通にしたいというご要望がないのであれば、別々で作成された方が明確でよいかとは思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~第1章 土地賃貸借について~
第〇条・・・
~第2章 建物賃貸借について~
第〇条・・・
~第3章 共通事項~
第〇条・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2 ご質問②
> また、賃貸借契約で注意をしないといけない点がございましたらご教示いただ
>けたらと思います。
(1)建物賃貸借の注意点
あまり問題にはならないかと思いますが、定期借家契約(契約更新がない旨の契約条項が入っている賃貸借で、契約書とは別の書面で契約更新がないことの事前説明がされると定期借家契約となってしまいます。)にされないようにお気を付けください。
定期借家の場合、契約期限が満了したら更新はなく、期限に出ていかなければならないため、借主にとって相当不利になります。
(2)土地賃貸借の注意点
建物を建築する目的で土地を借りられるのであれば、契約書に、使用目的として、建物所有目的であることを明記しておいてください。そうすれば、借地借家法の適用があり、借主である会社にとって非常に有利になります。
よろしくお願い申し上げます。